新型コロナワクチン 2社の添付文書が入手できたので成分を調べてみた。
本日(6/17) 大規模センター(自衛隊・大手町)でワクチンを接種できた。
ファイザー製のワクチンの成分 10倍生理的食塩水で希釈
トジナメラン mRNA本体のお名前 RNA量 30μg/0.3ml/ShotALC-0315 油 アミノ脂質
ALC-0159 ポリエチレングリコール(疎水性)に親水性基の部分がついたものPEG 脂質 非イオン性界面活性剤
DSPC 界面活性剤 (卵の黄身入っている成分の一種・リン脂質)
コレステロール 油
塩化カリウム 血液成分
リン酸二水素カリウム 緩衝剤pHを一定に保つ
塩化ナトリウム 血液成分
リン酸水素ナトリウム 緩衝剤pHを一定に保つ
精製白糖(砂糖) 安定化剤(分離防止剤)
このALC-0159に含まれるポリエチレングリコール部分が化粧品、軟膏等に含まれているのでアレルギー反応が起こる可能性があると言われている。
ALC-0315 油 アミノ脂質
ALC-0159 ポリエチレングリコール(疎水性)に親水性基の部分がついたものPEG 脂質 非イオン性界面活性剤
DSPC 界面活性剤 (卵の黄身入っている成分の一種・リン脂質)
ALC-0159 ポリエチレングリコール(疎水性)に親水性基の部分がついたものPEG 脂質 非イオン性界面活性剤
DSPC 界面活性剤 (卵の黄身入っている成分の一種・リン脂質)
コレステロール
これら4成分は機能脂質であるALC-0315(アミノ脂質)およびALC-0159(PEG 脂質)ならびに2 つの構造脂質としてDSPCおよびコレステロールと混合することでトジナメラン を封入する脂質ナノ粒子(LNP)が形成される。一般的にはリポソームと呼ばれている。
塩化カリウム 血液成分
リン酸二水素カリウム 緩衝剤pHを一定に保つ
塩化ナトリウム 血液成分
リン酸水素ナトリウム 緩衝剤pHを一定に保つ
リン酸二水素カリウム 緩衝剤pHを一定に保つ
塩化ナトリウム 血液成分
リン酸水素ナトリウム 緩衝剤pHを一定に保つ
これら4成分はPBSと呼ばれ、また等張性リン酸緩衝液と呼ばれる。生化学実験では一般的に使われているものである。等張性とは輸液で使われているリンゲル液(塩化ナトリウム・塩化カリウム・塩化カルシウム)からカルシウムを除いたもで血液成分と浸透圧が同じにすることである。なぜカルシウを除くからかは、リン酸と混ざるとリン酸カルシュウムが生成され沈殿を起こすためである。
モデルナ製ワクチンの成分 希釈しないで使用
CX-024414 mRNAのお名前 100μg/0.5ml/Shot/SM-102 油 アミノ脂質
コレステロール 油
DSPC 界面活性剤 (卵の黄身入っている成分の一種・リン脂質)
PEG2000-DMG ポリエチレングリコール(疎水性)に親水性基の部分がついたもの
トロメタモール 緩衝剤pHを一定に保つ
トロメタモール塩酸塩 緩衝剤pHを一定に保つ
氷酢酸(酢酸)緩衝剤pHを一定に保つ
酢酸ナトリウム 緩衝剤pHを一定に保つ
精製白糖(砂糖) 安定化剤(分離防止剤)
このPEG2000-DMGに含まれるポリエチレングリコール部分が化粧品、軟膏等に含まれているのでアレルギー反応が起こる可能性があると言われている。
SM-102 油 アミノ脂質
コレステロール 油
DSPC 界面活性剤 ((卵の黄身入っている成分の一種・リン脂質)
PEG2000-DMG ポリエチレングリコール(疎水性)に親水性基の部分がついたもの
これら4成分は機能脂質であるSM-102(アミノ脂質)およびPEG2000-DMG(PEG 脂質)ならびに2 つの構造脂質としてDSPC(およびコレステロールと混合することでCX-024414 を封入する脂質ナノ粒子(LNP)が形成される。一般的にはリポソームと呼ばれている。
トロメタモール 緩衝剤pHを一定に保つ
トロメタモール塩酸塩 緩衝剤pHを一定に保つ
トロメタモール・トロメタモール塩酸塩と言う聞きなれない名前だが、生化学実験よくで使われるトリス塩酸緩衝液(トリスヒドロキシアミノメタンと塩酸でpHを所定のpHに持っていく)のことである。pHの適正な範囲は6.58~9.58の間の緩衝作用を持つ
トロメタモール塩酸塩 緩衝剤pHを一定に保つ
トロメタモール・トロメタモール塩酸塩と言う聞きなれない名前だが、生化学実験よくで使われるトリス塩酸緩衝液(トリスヒドロキシアミノメタンと塩酸でpHを所定のpHに持っていく)のことである。pHの適正な範囲は6.58~9.58の間の緩衝作用を持つ
氷酢酸(酢酸)緩衝剤pHを一定に保つ
酢酸ナトリウム 緩衝剤pHを一定に保つ
氷酢酸・酢酸ナトリウム、これも生化学実験で使われる酢酸緩衝液のことであり、適正pH範囲は3~6.06である。
これら2つの緩衝作用を持つ緩衝液を混ぜて血液のpH7.4前後にもっていていると思われる。
通常生化学実験では、単一の緩衝液に交換するBuffer交換(ゲルろ過)を行うことが多いがモデルナ製は製剤の作成過程でBuffer交換(ゲルろ過)が行うことができない、つまりリポソームの段階で混合しているのでゲルろ過ができないと判断できる。(ゲルろ過するとリポソーム構造が破壊される)
構造比較
アミノ脂質部分(カチオン性)mRNAと静電結合
ファイザー [(4-Hydroxybutyl)azanediyl]di(hexane-6,1-diyl) bis(2-hexyldecanoate) |
モデルナ Heptadecan-9-yl 8-{(2-hydroxyethyl)[6-oxo-6-(undecyloxy)hexyl]amino}octanoate |
ファイザー 2-[(polyethylene glycol)-2000]-N,N-ditetradecylacetamide nの部分が44のポリエチレグリコール部 |
モデルナ1,2-Dimyristoyl-rac-glycero-3-methoxypolyethylene glycol-200044と書かれている部分がポリエチレングルコール部 |
ポリエチレングルコールは、その合成法により各種の分子量の物が作られる。単純にPEG-2000と言っても中心平均分子量が2000であり分布を持つ。ファイザー製はドデシルアセトアミノ基(Nが入った部分)モデルナ製は単純なC-O結合である。この違いが副反応の出方の違いかもしれない。一般的に高分子鎖にNの入った化合物は単純に合成できない。
共通部分
DSPC 1,2-Distearoyl-sn-glycero-3-phosphocholine |
cholesterol |
これら4構成成分は、ドラックデリバリーシステムとして既存の薬剤のリポソーム化で既に使われているリポソーム化と同様な効果を示す。
ファイザー・モデルナのmRNA(トジナメラン・CX-024414)
これは純粋な,重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)のスパイク糖タンパク質(S タンパク質)全長体をコードするmRNAではなく、化学的構造を修飾した修飾ヌクレオシドmRNA(modRNA)であり、特殊な構造を持つ
mRNA(modRNA)ではないmRNAの配列
Cap----5'UTR----スパイク蛋白コーディング 配列-----3'UTR ----PolyA
RNA学会祇より引用 |
Spike/RBD部分がウイルス粒子の表面に突き出ているスパイク蛋白のアミノ酸をコードするmRNAと細胞表面に存在するACE2レセプターと結合するドメイン (RBD) mRNAが含まれている。
5‘-capはmRNAワクチンに必須の構造 mRNAの安定性と翻訳開始
5‘-UTRはタンパク質へ翻訳されないRNA配列、
3‘-UTR-poly(A)tail mRNA の安定性に関与
ファイザー・モデルナはこの部分の構造を変えている。
Modified nucleotidesと呼ばれている由縁は、
1.Spike/RDB部分のmRNA中のウリジンを全てN1mΨ (1-メチル・シュードウリジン、あるいはシュードウリジン) に取り換えたこと。これによりN1mΨ (あるいはΨ) を含むmRNAは、外から細胞へ入っても、何故か、「異物だと間違われなく」自然免疫のシステムにより排除されないことが発見されたことである。
2.mRNAの頭についているキャップの構造(配列)もまた、mRNAワクチンに不可欠な構造でこれが作れないとmRNAワクチンは作れない特殊な構造をしている。
ALC-0159、PEG2000-DMG
ともにPEG(ポリエチレングリコール)-2000と言われる一般的な化粧品の基材に修飾基を入れている。2000の意味はポリエチレングリコールの分子量が2000前後あるという意味
PEGは、PEGーインターフェロン(ペグインターフェロン)としてC型肝炎の治療に大きく貢献している。PEGを付加することで体内でのインターフェロンの安定性を向上させている。
温度安定性の違い
リポソームを構成する4成分の違いから発生するものと思われる。
ファイザー製剤は、凍結状態から融解後 生理食塩水(0.9%塩化ナトリウム水溶液)で希釈し筋肉注射に供される。モデルナは、そのまま希釈無し。
温度上昇により、リポソーム構造が破壊されるため温度管理が必要となる。なお再凍結はリポソーム構造が破壊されるため禁忌とされる。
リポソーム製剤化
リポソームを構成する4成分と作製したmRNAのリポソームへの導入
1.単純混合
2.超音波で混合(但し超音波強度を適切に保たないと分離してしまう)
3.注射器をタンデムに取り付けた状態で両方のピストンを交互に押してエマルジョン化
4.mRNA溶液のpHを(高く、もしくは低く保ち)リポソームと混合、その後中和する
モデルナの製剤は2つの緩衝成分が入っているのでこの方法かもしれない
注射液が縣濁しているのは、リポソーム製剤だから。無色透明の場合は生理食塩水なので
筋肉注射する際注射筒の中身が縣濁(濁っている)ことを確認。
経過報告(平常時体温36.3±0.3℃)
1回目
6/17 6時間経過したが、注射部位の鈍痛があるのみ、腫れは無い
6/18 22時間経過、注射部位の鈍痛があるのみ、腫れは無い
6/19 40時間経過、注射部位の鈍痛があるのみ、腫れは無い
6/20 注射部位の鈍痛が去る 2回目は7/17
2回目
7/17 朝一の予約で接種 体温36.3℃(接種前検査) 痛みは前回と同様、腫れは無い
7/17 接種後 8時間経過 体温36.1℃、注射部位の鈍痛があるのみ
7/17 23:30 就寝時体温36.7℃、注射部位の鈍痛があるのみ 入眠は速やか
7/18 5:50 発熱 体温37.1℃ 体の節々が痛い、注射部位の鈍痛と若干の腫れ
7/18 8:00 発熱 体温37.7℃ 体の節々が痛い、注射部位の鈍痛と若干の腫れ
7/18 12:00 発熱 体温37.8℃ 体の節々が痛い、注射部位の鈍痛と若干の腫れ
7/18 16:00 発熱 体温38.1℃ 体の節々が痛い、注射部位の鈍痛と若干の腫れ
7/18 19:00 発熱 体温37.1℃ 体の節々が痛い、注射部位の鈍痛と若干の腫れ
7/18 20:30 発熱 体温37.5℃ 体の節々が痛い、注射部位の鈍痛と若干の腫れ
7/18 21:30就寝 発熱 体温37.5℃ 注射部位の鈍痛と若干の腫れ 入眠は速やか
用意したアセトアミノフェン(カロナール)は飲まずに対応
7/19 5:30起床 解熱 体温36.5℃ 注射部位の鈍痛と若干の腫れ 寝汗有
7/19 7:30 解熱 体温36.7℃ 注射部位の鈍痛と若干の腫れ
7/19 12:30 解熱 体温36.3℃ 注射部位の鈍痛
7/19 15:00 解熱 体温36.1℃ 注射部位の鈍痛 Stationary Stateになった模様
mRNAの参考資料は以下から引用 日本RNA学会