2025年5月31日

1493. JR東日本 154kV 2回線 武蔵境-新鶴見線 JR東日本 断線事故をひっそり報告

 JR東日本 横浜市港北区日吉本町6丁目での154kV送電線断線事故現場

 この送電線は、武蔵境交流変電所と新鶴見交流変電所間の送電線で連絡送電線のような機能を持っている。 

 1996~1998年に電線の増容量化のためアルミ覆インバ心特別耐熱アルミ合金撚り線XTACIR200㎟(約16mmの直径)に張り替えているので、これが切れたのが大問題となる。
XTACIR200㎟の常時許容電流は、約700Aから800Aの範囲

XTACIR送電線の説明 一般社団法人 電線総合技術センター(略称:JECTEC)情報

切れた1Lor2Lを接地して碍子取り付け部の全点検を行うことになる。

 Xからの情報をまとめるとNo.78~80付近の送電線が切れた模様、現在切れた相側全部に接地器具が取り付けられ、鉄塔には接地旗が付いており、一番上の相に送電線曳行用のケーブルが取り付けれている状態。https://x.com/shiguretont/status/1929089342951100696(@shiguretontさんの投稿)
接地器具を取り付けた際に付ける接地旗(別の場所の同じもの)

もう断線部は復旧しているが点検のため接地中

ここ 切れた箇所 https://x.com/kg_b0mbe/status/1929081946501439809(@kg_b0mbeさんの投稿)


 多分切れたのは一番上の相の送電線 鉄塔はNo.79 V字懸垂碍子吊り下げの下部の金具が破損して、送電線が落下した模様。

修理方法は
吊金工法で行っている模様 Tower Line Solution Co.,Ltd.から引用

 武蔵境交流変電所は、信濃水力の都内への入口、新鶴見交流変電所は、川崎火力の都内への入口 
  双方が別電源だったので断線停電しても大きな問題は発生しない。 但し154kV送電線がTEPCOの需要家線6.6kVを切断したので、周辺の住宅は停電した。6.6kV側も避雷器で保護されておりTEPCO側の配電用変電所でも電源遮断している。 停電範囲及び住宅損傷の程度から元々154kVを送電していなかった可能性が推測できる。
 
 断線地絡で瞬断を遮断器で行なったので続流による火災発生は無かった模様



JR東日本の発表だと日吉本町6丁目だが、TEPCOの停電情報だと下田町5丁目(日吉本町6丁目の上)が多数停電している。
断線箇所が日吉本町6丁目付近で停電箇所が下田町5丁目付近のようだ。
 
同時刻でのTEPCO停電状況
2025/05/31 10:20
2025/05/31 15:15 神奈川県 横浜市港北区 下田町5丁目 約50軒 調査中

2025/05/31 12:01
2025/05/31 12:13 神奈川県 横浜市港北区 下田町5丁目、日吉本町6丁目 約490軒 調査中

2025年5月25日

1492. 北陸巡検3 JR西日本 北陸新幹線 新黒部変電所 RPC(電力補償)装置配置 

 新黒部変電所

        

アプローチ:黒部宇奈月温泉駅

受電:黒部江口線H003 154kV 2回線 分岐 需要家線H004 154kV 2回線


上位には発電所が2つ繋がるが発電出力は小さい。上位は、遠方の富山火力発電所となる
黄色〇が新黒部変電所
 新黒部変電所の上位に愛本変電所がある。H002愛本黒部線で繋がってはいるが×が付いているので分断されている。これは愛本変電所が関西電力管轄であるためであり、黒部発電所系の潤沢な電力が利用できないため、新黒部変電所は電源が弱い環境に置かれている。

 新黒部変電所は、受電の短絡電流が小さく弱いため、変電所内に電力補償装置(以下RPC装置とする)を導入している。そのため変電所本体は明電舎、RPC装置部分は富士電機に分かれて施工されている。明電舎でもRPC装置は作製しているが入札で落ちたのか?

 RPC装置が新黒部変電所に置かれる理由は、一次側の送電線の短絡容量が小さく、二次側M座、T座側の列車走行による二次側の不平衡が一次側に影響を及ぼすので、二次側の不平衡電力をM座、T座間で融通して一次側に影響を及ぼさないようにしている。

新黒部変電所単結線図
 他の変電所との特殊な違いは、中心にRPC装置の空白があること
この部分が富士電機の担当部となり他の部分は明電舎が担当している
RPC装置は、所内母線側のM座、T座のF(FA)、T(TF)側に並列に繋がっている

白抜きの部分がRPC装置 結線が2本しか書かれていないが1本がM座AF(AT)、TF(T)の2回線を表現している。もう1本がT座AF(AT)、TF(T)の2回線を表現している。


 M座、T座から取り入れた電力を一端インバーター用多重変圧器で降圧してインバーターで直流化、コンデンサを充電して結合させている。全停電時にはコンデンサの容量が抜けるため別に起動用の直流電源でコンデンサを充電する必要がある。RPC装置は1台7.5MVAで2台置かれている。インバーターユニットはIGBT素子でPWM制御 


RPC装置の富士電機仕様

RPC装置の運転モード 
新黒部変電所では、RPCモードが主につかわれSVC-Q、Vモードはめったに使われない
特にSVC-Cモードは選択できるが使われないと思う

RPCモードの運用
 M座、T座のき電側有効電力が不均衡の場合、その差の1/2をRPCを通じて融通してスコット結線変圧器のM座、T座を有効電力を同一にして一次側の三相電力を均等化する。この場合変電所直下の中セクション(SN)を利用した切替開閉器は通常通り運用する。



SVC-Qモードの運用
 スコット結線変圧器の片座運用を行なう。き電を行なっている片座の電圧、電流から変電所出力の無効電力を演算して、その無効電力と逆極性の無効電力をRPCが出力し無効電力の補正を行なう。き電線電圧が降下しそうになると、SVC-QモードのRPC装置は、そのき電線に対して進み無効電力を供給する。またその逆でき電線電圧が上昇しそうになると、RPC装置は遅れ無効電力を吸収する。そのため片座電圧は安定化するこの場合スコット結線変圧器の一次側は電力不平衡状態となるので短絡容量の小さい新黒部変電所では一次側送電線に影響を及ぼす。この場合変電所直下の中セクション(SN)を利用した切替開閉器は無効化し運用する。

 

受電設備

154kV60Hz 2回線受電 最終鉄構

一番右 避雷器(LA)、CVT(コンデンサ形電圧計)、断路器(開路)、遮断器(GCB)


右 CVT(コンデンサ形電圧計)と断路器(開路)、遮断器(GCB)


右 遮断器の後は、CVT(コンデンサ形電圧計)とCT(変流器・電流計)でMOFを形成

単結線図と実物の対比


左 スコット結線変圧器 その直前に再度避雷器を置くのが常套手段

変電設備 スコット結線変圧器

明電舎製 スコット結線変圧器 M点アレスタ省略 低騒音形
154kV降圧60kV き電用変圧器 

スコット結線変圧器 70MVA 新長野SSより大きい


OT1(所内変圧器・逆スコット結線変圧器)
EVT2組(地絡事故時に発生する零相電圧を検出する・この場合AF(F)とTF(T))

単結線図と実物の対比

所内き電母線60kV 側
1,2Lの各スコット結線変圧器からのAF(F)とTF(T)が纏まり分配される

中央右の建屋は、き電母線からRPC装置に繋がる遮断器が収容されている
その後ろが60kVき電母線部

き電母線部から上下線 き電用CB室(遮断器収容)にき電線が分配される

単結線図と実物の対比


RPC部への接続部
き電母線裏側から建屋内の遮断器を経て引き出されケーブル化されて多重変圧器に繋がる

建屋のドア表示 4台の単極遮断器が収容
RPC部 インバーターは別棟建屋に収容

上の図の52RPCM(M座)、52RPCT(T座) AF(F)とTF(T)で4台
89RPは、RPC用遮断器室の後ろにあるので見えない

左側がM座のAF(F)とTF(T)

インバーター用変圧器4台 M座2台 T座2台


インバーター変圧器 矩形波で励磁しているので音がうるさい 奥60kV側 手前2,460V側


IGBT素子を使用したインバーター収容建屋 RPC装置の心臓部

3レベル単相インバーターユニット4台を1面実装×2とコンデンサバンク24.3mF×2
多分中心のパンチングメタル部分がコンデンサバンク
16本のケーブルが見えるが2本1組×2がインバーターユニット1台に接続


RPC稼働時の単結線図


き電母線部から上下線 き電用遮断器室)にき電線が分配される

き電用遮断器室(52F11,52F13が収容) ここまでが60kV耐圧 (実際は負荷側の89FL断路器まで) 

ATき電部 
ATと切替開閉器52S,タイき電用断路器89FT,中セクション短絡用断路器89SNで構成




奥 上り方(白) AT 12,14  
右端負荷断路器は89FT 上り方タイき電用 中央左負荷断路器は89FT 下り方タイき電用

奥 下り方(黄) AT 11,13 負荷断路器は89FT 



手前 切替開閉器室(下り線用)11,13き電線収容


左建屋 下り線 切替開閉器室 予備を含めて2基収容
線路側にき電線引出

手前 下り方切替開閉器室 黄色 13T,SN1,11T側母線、
奥 登り方切替開閉器室 黄色 14T,SN2,12T側母線

奥 拡大 上り方 この母線左に切替開閉器室がある


手前 拡大 下り方 この母線左に切替開閉器室がある


き電線接続部 線路側





トンネル開口部 黄色下りATき電線とTき電線 白 上りATき電線とTき電線

トンネル開口部 黄色下りATき電線とTき電線 白 上りATき電線とTき電線
このトンネル開口部のトロリ線部分は中セクション(SN)となっている


参考資料
御籐憲行ら;北陸新幹線(長野・金沢間) 変電設備・配電設備・電車線設備紹介:明電時報Vol.344,No.3,pp23-24,2014

須貝孝博;北陸新幹線(長野・金沢間)の電気設備について:J. IEIE Jpn.   Vol. 35 No. 8,pp3-6,2015

尾曽弘ら;北陸新幹線新黒部変電所向け電力補償装置:富士電機技報,Vol.88,No.1,pp.56-61,2015






































































































2025年5月23日

1491. 北陸巡検2 JR西日本 北陸新幹線 新上越変電所 デマンドオーバーには注意 150万円/回

 新上越変電所

アプローチ:高田駅  林道歩いていく途中でJR西日本の下ってくる車とすれ違った。もう少し
      早く着いたら現場で鉢合わせで取材はできなかったであろう。

受電:東北電力 西上越線_0709分岐 新上越変電所線0710 154kV
北陸新幹線開業時点では、東北電力の50Hz 154kVの送電線が最短の供給元であった。
その後上越火力発電所から中部電力の60Hz 275kVの上越火力線が2011年運開した。が時遅し、新高田SP、新糸魚川SP区間だけ50Hzでのき電区間となった。

赤丸が新上越変電所 東北電力の送電系統図
上位に大所川発電所を2ヶ所、デンカの発電所3ヶ所が繋がっている。
石曽根の黒丸はデンカ青海工場。石曽根開閉所は、デンカのカーバイド製造プラント電気炉(アーク炉)に大電力を供給している。そのため新幹線電力として十分な短絡容量を持っている


上位(大所)には発電所がある

き電:スコット結線変圧器2台 全管路形GIS設備 変圧器、AT(単巻変圧器)も管路形GIS
   で繋がっている。
   外に見えてる部分は、受電設備の引込ケーブルヘッドと変圧器の放熱器、OT(所内変
   圧器)とその二次側

 この下のき電系統図を見て判るように、隣の新高田き電区分所(60/50Hz)境界とは2.3㎞の距離しかない。

赤が正確な配線 ×は間違い

 通常 スコット結線変圧器の二次側は、M座、T座とも同容量のの電力を使うように設置場所が選択されているが、この新高田変電所、隣の新長野変電所とも隣のき電区分所までの距離が短い。この場合一次側での電力平衡率に変動がでると思う。(交流式電気鉄道では電気設備技術基準第55条及び同基準解釈第260条に基づき、連続2時間の平均負荷で三相交流電圧不平衡率 が3%以下にするよう規定されている)。一次側が短絡容量が大きい送電線に繋がっている場合は、二次側の少々の不平衡はネグレッシブなのかもしれない。

 新上越変電所は、先に述べたように全屋内式で管路形GISで設備が組み上がっているので見るべき設備が無い。但し 変電所正面左に側道があり金網に沿って入れるようになっている。立ち入り禁止の表示も特に見られない。

この変電所からJR西日本管轄

林道から俯瞰


新上越変電所線0710 154kV


1L側 この左から側道がある


手前 △帽子は避雷器、その奥 CVT(コンデンサ形電圧計)と一部ブロッキングコイル

CVT(コンデンサ形電圧計)と避雷器LA Arと表示する場合もある


2L側 2L、1Lどちらから受電しているかは不明

所内引込ケーブルヘッド 154kV


             
AT1とAT2 銘板を撮ろうとしたが出来ず 50/60Hz共用のはず


OT(所内変圧器)二次側は外部へ

AT2のき電側は管路形GISで所内へ

スコット結線変圧器

50,000kVA 1台 50 MVAは容量としては小さい
一次側、二次側とも管路形GIS接続。き電区間が両座合わして40㎞で通常の半分。ここからの延長き電は考慮しなくてよいため。両端とも60Hzの地区になるので延長き電できない。

2L側受電設備

VCTと表示の下の機器箱の銘板


コンデンサ形計器用変圧器 設備一式は日立製作所納品


所内のき電線引出部(右側)と思える画像
日立論評日立評論 2016.01-02から引用


新箕郷変電所の管路形GIS設備 このような設備が屋内に収容されているのだろうと想像
切替開閉器もGIS化されている珍しい例


新上越変電所が落ちた場合は、新黒部変電所からの救済き電で50Hzき電区間が60Hzき電区間に切り替わる。そのためAT、計器用変圧器、変流器などは50/60Hz両用対応形になっている


 新長野変電所方からの救済き電もできるはずであるが、管轄がJR東日本とJR西日本に分かれているため新黒部変電所からの救済き電で新高田き電区分所突合せとなる。

電気料金算出における新上越変電所の特殊性

白山車両基地までJR西日本は全て154kV(50/60Hz) 


き電区分所と線形の関係
 下り 上越妙高通過した列車は直ぐに制限区間の新高田SPを通過登り勾配に入り193㎞付近のトンネル防災断路器を通過した時点から下り勾配に入り、200㎞付近の新能生SSPを通過した時から再度登り勾配に入り207㎞地点から下り勾配に入る糸魚川停車の列車は回生ブレーキを使い駅に停車、通過列車は、そのまま通過して新糸魚川SPの制限区間を抜ける。
 上り 制限区間の新糸魚川SPを通過した列車は糸魚川停車の列車は回生ブレーキを使用、207㎞地点まで登り勾配となる。そこから一端下り勾配に入り200㎞付近の新能生SSPを通過した後最後の上り勾配で駆け上がり、193㎞付近のトンネル防災断路器を通過したし下り勾配で新上越SSと新高田SPを通過する。
 上り方面の方が電力を食う方向で列車は運行している。

新上越変電所のみ東北電力受電で個別契約
北陸電力受電のその他変電所は、総合契約なので電力量が平均化される

 新上越変電所は、個別契約なので電力料金の最大電力量については30分毎の積算電力で算出され実績デマンドが契約デマンド値を超えると違約金(デマンドオーバー料金)が発生する。北陸電力受電のその他変電所は、総合契約なので電力量が平均化される
 契約デマンドは5,350kWhに設定されている。デマンドオーバー1回で150万円で過去には複数回のデマンドオーバーを発生させた実績があった。

 東北電力のWebで調べるとデマンドは最大契約電力kWで表示されるものであり、30分の測定範囲の積算電力契約電力が5,350kW以内なら割増金が発生しない。一度でも契約電力を超過する最大需要電力が記録された場合、その超過した最大需要電力が、その月以降の契約電力として自動的に適用される。この新しい契約電力は、その後11ヶ月間(またはそれよりも高い最大需要電力が記録されるまで)維持される。
 
 確かにうちの変電所のデマンド値も30分毎に積算されていき、最大電力(kW)が記録された時点で契約電力の変更があった。そのため電力メーターのパルス出力を積算表示するデマンド警報器を自作して設定域に近づくとメインエントランスのパトライトが点滅するようにして管理していた。
 デマンドオーバーは空調を多く使用する夏場に発生していたが、研究所の性格からいって空調を切るような研究環境悪化は行わなかったので 、そのうちパトライトを撤去してしまった。ベースは超低温庫や冷蔵庫が多数運転されており、切るのは照明位でがLED照明なので切ってもたかが知れている。  

 この文献にある5,350kWhは5,350kWの最大電力の間違いであろう。ちなみにJR西日本が東北電力の特別高圧A/B受電 2,035.00円/kW/月として力率0.9 違約金条数1.5 で150万の違約金発生の場合のオーバー電力量は約546kWとなる。


30分の積算値 デマンド上限値は5,350kWh 5,000kWh がノッチ制限の要請基準 

30分で5,000kWH消費する際 
5000kWh/30分=10,000kW=10MW 
1列車当たりの使用電力量を1分毎に平均化した表
横軸はき電区間(SP)に進入した時刻を0として進出するまでの時間


   かがやきは、上りは最初小さな山がありその後大きな山を越えて下る10分で区間を抜ける
はくたかは、大きな山を越えて回生を掛けて次の山を越える15分(停車が入る)で抜ける
「かがやき」の場合10分間を全部合計すると約960kWh/10分平均電力に直すと5.8MWになる
「はくたか」の場合15分間を全部足すと約1060kWh/15分平均電力に直すと4.2MWになる

 雑な計算で電源容量は10MW(デマンドオーバーの規制値)なので、かがやき、はくたか各1本を最大電力使用で動かせるがマージンがない。実際は、刻々と変化する電力量の積分値の合算が10MWを越えなければデマンドオーバーしないのでさらに列車数をふやして動かせる。

  変圧器の容量は50MVAなので力率0.9としても45MWなのでデマンド値(契約値)を大きくすれば本数増加、スピードもUpできるはず

 指令長は、予想ダイヤから列車遅延や列車走行本数、また電力系統システムのデマンド積算値を把握して、経験をもとにデマンドを予測してノッチ制限の要否を判断していた。この判断は、定量的基準が無く指令長の経験による判断に委ねられていた。デマンドオーバーが見込まれる場合5ノッチ以下で走行するように列車司令へ手配(ノッチ制限)をしていたそうだ。
 そのためデマンドオーバーの多数回発生と真逆の列車遅延(ノッチ制限)が発生する場合もあった。
 時間帯としては10:00~11:00間がノッチ制限時間帯となるため5ノッチ以下の制限が掛かっていた。しかしノッチ制限を一律に指令したため時にはデマンド値が3,600kWhになり4本の列車に4~1分の遅延を発生したこともあった。
 このデマンドオーバー制限の5ノッチ以下制御の判断は、基準があいまいであったためJR西日本では、ノッチ制限する列車を限定する手法の確立を行ないアプリを作成して対応したそうである。(E7系のマスコンのノッチ5は、中〜高出力の加速指令を車両の制御装置に送る設定となる。これ以下のノッチで運転することになる)
新高田SPと新上越SS及び新糸魚川SPの間隔が大幅に違うが一次側の電力は三相で測定するので二次側の電力不平衡は一次側では通常、各相に独立した変成器を備えているため、不平衡な状態であっても各相固有の電流と電圧を正確に変換することが可能なため問題ない

デマンドオーバー防止アプリの表示
 予測デマンドで5,000kWhを超える表示が出現 ノッチ制限を行なった際のデマンドは5,000kWh以下になっている。そのためノッチ制限の要請基準は予測デマンドが5,000kWh を超える場合に明確化した。

 現在このアプリ導入でデマンド値をモニターしてデマンド値を抑制しており、デマンドオーバーをすることが無くなったそうだ。つまり一般的なリアルタイムデマンド監視システムの導入を行なっただけということになる。

 この時間帯の北陸新幹線のこの区間を通過中の新幹線が遅いと思ったらノッチ制限が掛かっているものとみてよいかも?! SDGsの観点からデマンド制御も必要と思われる。

 逆にスピードアップするならこの新上越変電所の契約デマンドを大きくすれば良いことになる。

 IEEJ 2024 5-216






参考資料
杉本涼輔ら;新上越変電所デマンドオーバー防止に向けた取り組み:優秀賞:鉄道と電気技術Vol.35,No.6,pp.28-32,2024

御籐憲行ら;北陸新幹線(長野・金沢間) 変電設備・配電設備・電車線設備紹介:明電時報Vol.344,No.3,pp23-24,2014

須貝孝博;北陸新幹線(長野・金沢間)の電気設備について:J. IEIE Jpn.   Vol. 35 No. 8,pp3-6,2015












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