以前に記事にしてたがタイトルに動力式検電接地装置が入ってなかったので別記事としてUp
今回の事象で有名になった動力式検電接地装置の具体的動作が記載されているブログがあったが10年以上前の記事なのでタイトルに動力式検電接地装置が入ってなかった。書いた本人が詳細を忘れていた。(ローカルLLMを早く軌道に載せれば、このようなことは防げる)
その後各地の工事現場に動力式検電接地装置が設備されてきたのは、記事にしている。
元記事 2014年出稿 なんと12年前
以下動力式検電接地装置の部分 抜き出して引用
代々木駅を良く観察すると、なにやら細いき電線が纏まっている。
山手線、総武線、中央線、埼京線のインテグレート架線のき電線部分に接続されている。
8回線がクリートでアーチを描き駅構内に引き込まれている。
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左から中央線上下き電線、緩行上下き電線+帰線、山手線上下き電線+帰線 どうやら中央線と緩行線は帰線が共通のようだ 帰線は上下タイインピーダンスボンドの中性点に繋がっているようだ。
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山手線 インテグレート架線のき電線部を見ると細いき電線が繋がる
美しい弧を描いて、埼京線トラスを渡る。
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代々木駅から新宿駅方面バス乗場を経由して歩いてみると途中 見慣れない装置に出合った。
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上部の銘板の部分が操作部になる。
停電時間帯が、記載されている。
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三和テッキ製 改良型動力式検電接地装置
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新宿駅構内は、この10数年以上改良工事が続いており、まだ終了していない。工事の際は、架線及びき電線の停電工事を伴うことが多く、その際に停電検電担当者ではなく、一般の工事責任者が停電を確認。検電し同時に接地作業を行えるようにした常設の装置であった。
通常の停電作業は、電力係員が出向き、電力指令と連絡を取り、検電棒で検電を行う。
無加圧を確認の後、ジャンパ線で架線とレール間を接地する。この作業を電車線1本ごとに行うことになり手間も掛かる。この装置を利用すると接地作業費用の削減、作業時間の拡大が可能になる装置で、新宿駅に設置されているのは、この装置の改良型で音声での案内・青パトライトでの停電の明示を行う。また装置下部の線路に繋がる接地線には、線路側の電位が高まった際に架線への電流の逆流を防ぐ整流素子がモールドされたサーキットセーフティーパック(指月電機製)が設置されている。
装置は、三和テッキ製であり東日本電気エンジニアリングが保守を担当している。接地回路は、大電流が流れるわけではなく地絡継電器を作動させれば良いだけなので、交流用の電磁開閉器を利用し安価に製造できている。表面に貼られている時間帯は停電作業の時間帯であろう。この場所で新宿駅南口付近の停電作業(検電・接地)が一括でできる。
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装置へは3本のケーブルが繋がる。1本は共通接地端子。もう2本は上下き電線にそれぞれ繋がる
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サーキットセーフティーパック(逆流防止器)
これと同じものが、大井車両センターに取り付けられている。
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Tがトロリ線側この場合動力式検電接地装置の共通接地端子に繋ぐ Rがレール側に接続する
サーキットセーフティーパック(逆流防止器)
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具体的動作(参考資料より抜粋と追記)
(1) 初期状態:接地器は解放
(2) 検電接地装置の操作扉を鍵で解放すると扉スイッチが入り、加圧検知を開始(検電作業)
(3) 加圧中の場合には「接地取付」ボタンを押しても接地器を投入できない
(4) 停電責任者は電力指令へ停電作業に着手申込を行い作業許可を得る(電車線路停電)
(5) 電車線路停電後、停電責任者が「接地取付」ボタンを押すと接地器が投入される
停電責任者が指示する接地取付作業に相当
(6) 停電工事(作業)開始
(7) 停電責任者が作業責任者から作業終了報告を受ける
(8) 「接地取外」ボタンを押すと接地器が解放
停電責任者が指示する接地取外作業に相当
(9) 停電責任者は電力指令へ停電工事終了報告を行う
(10)所定の時刻で電車線路に送電
(2)~(8)における状況は回転灯・表示装置により表示 音声応答装置から音声により通知
以下新しく記事を追加した部分
高円寺駅に設置された動力式検電接地装置の高圧真空電磁接触器は富士電機の以下のカタログ内にあるHN46A形
pdfをダウンロードする必要がある
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高円寺駅の動力式検電接地装置はこのタイプを使用 NH46A形固定型 左下のON/OFF表示とコネクタの色、銘板が一致 白い円筒部分が真空バルブ(スイッチ接点部分)
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白いチューブ状の真空バルブ内に接点がありバルブ内のベローズが上下動して接点の入り切りを真空中で行う。
真空バルブが3本あるので上下線で2本使える(上下線同時に操作可能)
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上記高圧真空電磁接触器(固定形)ではない。 しかし似た構造(引出形)であるので真空バルブ説明の部分は確か
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動力式検電接地装置は、大電流を入り切りするわけではなく単にき電線とレールを無負荷(停電時)に繋ぐ目的で使われている。だから動力式で真空バルブの接点を動力で上下動させて入り切りを行なう。そのため交流用(耐圧6.6kV)でも直流1500Vを無負荷中に「ON:接地」にするので問題はない。また架線が加圧中(1500V)なら真空バルブは「OFF」の状態でも十分電圧に耐えられる。
以下は私見で憶測です。
ではなぜ京浜東北線の動力式検電接地装置から発煙発火したか?真空バルブは高真空状態ならば富士電機の場合接点間隔が4mm
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6mmで6.6kVの絶縁が保たれる。しかし真空バルブの真空度が下がりパッシェンの法則のポイントの真空度のところになると5mmでも1500V位で絶縁が破れてアークが発生導通してしまう。つまり真空バルブの真空度低下が原因で
いつ絶縁が破れてもおかしくはなかった。もしくは導通したり不導通で状態が不定だった。
ところが京浜東北線の品川-東十条駅間は、午前7時22分、上下線で運転を再開したため
絶縁が破れアークが発生 高抵抗地絡状態が発生。在線電車の消費電力と区別がつかず⊿I形故障選択装置(50F)が働かなかったため直流高速度遮断器が働かなかった。
電車が減速した際(回生で架線電圧が上昇)についに接点間のアークが拡大し流れてはいけない電流(続流が発生)が動力式検電接地装置に流れて発煙発火に至った。この時点で⊿I形故障選択装置(50F)が働いて新橋-田町間の京浜東北線 再停電。駅間に電車が止まりドア開放で乗客誘導のため山手線、東海道線も運休措置
<今回の事象発生から運転再開までの経過> JR東日本発表内容
① 山手線・京浜東北線 送電後に停電発生・運転見合わせ
② 山手線・京浜東北線 検電接地装置を「開放」操作
③ 京浜東北線 送電開始・運転再開
④ 山手線 試送電(京浜東北線の検電接地装置から発煙)
⑤ 山手線・京浜東北線・東海道線
送電停止・運転見合わせ
⑥ 東海道線 送電開始・運転再開
⑦ 山手線・京浜東北線 検電接地装置を架線から切り離し
⑧ 山手線・京浜東北線 送電開始・運転再開
以下は独自視点での推定
①②は、検電接地装置の切り忘れで、変電所の⊿I形故障選択装置(50F)働き、直流高速度遮断器(54F)開放で正常動作。検電接地装置「開放」で送電開始は妥当な対応。しかし実際に切り忘れが起きた事例が過去に無かったため短時間に許容電流(4KA)を越える電流が流れ山手線の真空バルブ接点が固着
③ 京浜東北線
直流高速度遮断器(54F)投入成功。この時点で山手線の直流高速度遮断器(54F)が出来ない状況となる。山手線の原因は真空バルブの接点固着(真空バルブの接点だけが溶着し、操作機構(リンク)だけがOFF位置に戻ってしまった場合、補助接点は「OFF」を示してしまうため、電気的な検知が漏れるリスク発生) 京浜東北線は真空バルブの機能不全発生「真空度低下(破損)」していたが運行はできていた。
④ 運転再開の京浜東北線 真空バルブの破綻で検電接地装置から発煙発火
⑥ 以上はJR発表通りの進み方
実際は①から⑤の間に駅間停車の電車からの乗客避難等で東海道線が停まっている時間帯がある。
結論
京浜東北線:真空度低下によるパッシェン放電」と山手線「接点溶着による補助接点の誤表示」のダブルパンチという見立て
初期の報道では田町駅付近の変圧器から発煙との報道もあったが線路脇に置かれている変圧器と動力式検電接地装置の区別がついてないので「変圧器から発煙」と報道されてしまった。
そもそも高圧真空電磁接触器はキュービクル内で使われており線路脇のバラストがひかれている振動の多い場所での使用は想定されてない。
JR東日本のプレスリリース2回目が出た。
検電接地装置内の高圧真空電磁接触器がなぜ導通状態だったか
高圧真空電磁接触器内の真空バルブの健全性はどうだったか(真空度等)
この発表は現象だけを述べており根本的な原因には触れられていない。
そもそも、山手、京浜東北の検電接地装置は個別筐体接地であったはず
なせ山手線の外回りだけ導通状態だったか。この高圧真空電磁接触器は交流三相なので三相一括で真空バルブ中の接点が動くはず
なせ先に京浜東北線の検電接地装置から発煙発火したか?
JR東日本のプレスリリースは、あくまで「社会への説明責任(誰の、どの操作が、どう影響したか)」という管理・運用面に終始しており、プロの技術者が求める「なぜ機器が物理的に破綻したのか」という工学的深層原因には一切触れていないし触れるつもりもないだろう。
JR東日本管内には約700台以上の動力式検電接地装置があり、工事現場での検電接地を行なっている。動力式検電接地装置を使用停止することで検電接地に人工がとられる。
また終電から始発の間合いで工事を行なうため工事時間を増やすためにも動力式検電接地装置の使用停止はできないだろう。とりあえず使用を続け、原因究明は鉄道技術総合研究所と共同で解明されてい行くと思う。さて少なくなった組合がどう出るか?
JR東日本の時系列データを基に記事をUp この記事との重複部分があります。
参考資料
JR東日本,青柳ら:直流電車線路用動力式検電接地装置の改良
鉄道サイバネ・シンポジウム論文集(CD-ROM);2005,論文番号608