2019年12月9日

948. JR東日本 力行可能なデッドセクションの施工例(青森・黒磯)

力行可能なデッドセクションの施工例(青森・黒磯)

青森地区のき電系を研究中に力行可能なデッドセクションの文献が見つかったので記す

 デッドセクション追加工事における施工時間短縮のため力行可能なデッドセクションが考案された

初期形は、セクションインシュレーター部分に銅板を這わせた物
交流⇔交流間のセクション
実際に青森地区のデッドセクション構築に使われた。青森西変電所の割り入れに伴う並行在来線分離工事の一環として利用された。
間合い時間30分でのデッドセクション構築 き電系統の切替、往来が多い場合での使用(寝台列車・貨物列車の通過)
既存のデッドセクション以外で新設されたデッドセクション 3か所(青森駅近傍)で使われた模様

以下に文献から構造を示す

力行走行可能な切換対応デッドセクションの開発

力行走行可能な切換対応デッドセクションの開発 JR東日本 三和テッキ 文献引用
上記引用文献とは違う別文献から引用
今から9年も前なので現場を確認しても、その片鱗もないことは確実だが、文献上の
デッドセクションと同様なデッドセクションが青森に存在していたのでUpする
ポリマ碍子を使用したデッドセクションであるが、トロリ引き止めが旧型である。
青森西変電所 割り入れによって発生したデッドセクション
ポリマ碍子ではない。ただ割り入れた当時2011年は、この経路も
運行が多かったのでポリマ碍子の高速対応型だったのだろう

文献以下引用
 既設の電車線にデッドセクション(8m)の新設を行うには、少なくとも60分程度のき電停止間合いが必要である。また事前にデッドセクションを新設し、き電線を仮設する施工方法が考えられるが、使用開始前のデッドセクションに力行走行で列車が進入した際に、アークによるセクションインシュレーターの損傷等が懸念される。こら課題を解決し、限られたき電停止間合いで確実な切換を行うためには、力行走行できる電気性能を持ったデッドセクションを事前に新設し、切換当日まで力行走行可能とさせ。切換当日は通常状態のデッドセクションとして使用開始を行うことが可能となるようなデッドセクションを開発することをコンセプトとした。
引用終わり
文献の発行年は2009年だが切替が行われたのは2010年4月~5月となる

この文献の引用は以下で行っていた。すなわち黒磯の交直切換デッドセクション変更工事で使われるのでは?としていた。
693. JR東日本 自由研究 黒磯駅 直流化の行方  クリスマス特別号 ブログリンク

576. JR東日本 自由研究 Deepな 黒磯駅 交直切換 老生常譚 デッドセクション 異聞  ブログリンク

実際の黒磯デッドセクションの構築では改良型が使われたそうだ。やはり工事前の見込みは合っていた。

改良形は、セクションインシュレーターの両脇に添線(トロリ線)を這わせた物
交流⇔交流(デッドセクション構築は、以前から交流区間である新白河方)
初期の銅板を這わせた物より、強化されているが重量がある。

以下文献部分引用
 東北本線黒磯駅構内は、構内の東京方でデッドセクションが構築されており、交流・直流電源が混在以下中略電車線作業(電車線の張替え作業、電化柱新設・撤去等)を行うときには、適切なき電停止パターンを選択し以下中略黒磯駅構内は貨物列車走行区間であるため、作業に必要なき電停止時間が確保できない以下中略電源が混在している構内を直流化により簡素化以下中略直流化に向けては、構内に設備されているデッドセクションの設置位置を東京方から新白河方に変更(き電系統の変更)以下中略現状と同等のように力行走行できる電気的性能を持ったデッドセクションを事前に新設し切替当日まで力行走行を可能とさせ、切替以降は、区分装置として使用以下中略実際の切替作業に使用した。
引用終わり
参考文献に初期型の引用はないが三和テッキが共著で入っている。
初期開発品と違うところは、銅板をトロリ線の使用としたところ、特殊な金具を別途用意したところ、それら固定をボルトで固定したこと(初期型はステンレス結束バンド)
施工時の様子
 開発品の取り付けを計画通り前日に行ない切替当日までの間 改良品を使用
この変更により重量が増加して架線全体が下がり架高を確保するのに苦労
交換時間は作業時間約230分を想定したが190分で切替終了

現場の状況
直流から交流・交流から直流へのデッドセクション構築

課題
50m以上の長大径間での構成は架線に対する重量が重くなるため不可能
軽量化が必要となるとのこと
文献より引用 
初期型よりトロリ線が添線となったため重量増加

文献より引用 ただこのセパレーターで重量が増加してしまった。
施工された現場 黒磯駅構内 新白河側
デッドセクション構築前吊架線に碍子割り入れ(2つのデッドセクションとしてとらえている)
この2か所に力行可能な切替用補助トロリ線付きのデッドセクションが構築された
四季島デッドセクション構築前を通過
デッドセクション構築後 8m+20mがFRP部
標識が出現

新白河側 ブラケットで保持しているため切替用補助トロリ線付きのデッドセクションの
重量は余り問題にならない 8m部

黒磯側 ブラケットで保持しているが片持ちのため
切替用補助トロリ線付きのデッドセクションの構築には苦労した模様
20m部
交流→直流のデッドセクション部分 構築前
こちらは、2m×4本のFRPで重量的に分散
多くの交流→直流のデッドセクションは、ワンスパンである。黒磯は例外

交流→直流 デッドセクション構築後 8m×2
多くの交流→直流のデッドセクションは、ワンスパンである。黒磯は例外
まとめで「50m以上の長大径間での構成は架線に対する重量が重くなるため不可能」としている。50m付近のデッドセクション長は、すべて直流→交流へのデッドセクションで採用(単線・逆走運転以外)されているが、デッドセクション自体(FRP部)はどれも短い。交流から直流へは1デッドセクション(黒磯は除く)で全体長が長くなるので重量は大きな問題となる。この切替用補助トロリ線付きのデッドセクションを採用する場面が新たに発生することは、少ないと思うが軽量化とともに保持部分の工夫が必要であろう。

 交直デッドセクションでのデッドセクション長の差については、今回は長くなるので述べない。



村上⇔間島間交直デッドセクション

直→交は中間部を挟んだ2デッドセクション 奥
交→直は中間部無しの1デッドセクション 手前

糸魚川⇔梶屋敷間のデッドセクション
直→交は中間部を挟んだ2デッドセクション 奥
交→直は中間部無しの1デッドセクション 手前
藤代⇔取手間のデッドセクション

直→交は中間部を挟んだ2デッドセクション
交→直は中間部無しの1デッドセクション

参考文献,
村上智美ら;力行走行可能な切換対応デッドセクションの開発:【D】平成21年電気学会産業応用部門大会講演論文集,3-52,pp.III329 - 330,2009
長谷川恵太ら;切替用補助トロリ線支持金具の開発:電気学会研究会資料、交通・電気鉄道研究会編,40-54/56-61,pp13-16,2018
渡辺 寛:交・直セクションの長さ決定のルーツと現状;電気鉄道:1978,Vol.32,No.11,pp21-23
米澤敬司ら:

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