2017年7月20日

576. JR東日本 自由研究 Deepな 黒磯駅 交直切換 老生常譚 デッドセクション 異聞 

自由研究 Deepな 黒磯駅 交直切替 老生常譚 デッドセクション異聞
 
キーワード 黒磯駅 デッドセクション 交直 切替 切換 変電所 断路器 車上 地上

JR日本 仙台支社発表 2017/7/7
黒磯⇔白河間に気動車および交直両用E531系の投入
追記
  
黒磯駅の地上切換の話題の前に、作並の交流電化試験の際の地上切換の設備及びその時検討された代表的な単線及び複線の配線図を示す。
 
作並駅 地上切換設備
 



作並駅 地上切換実験時の構内配線図  右交流区間 左直流区間 2013年 文献 久保 敏

現状作並駅 左 山形  右 仙台



作並駅 地上切換実験時の構内配線図  右・山形:直流区間 左・仙台:交流区間 1956年文献
 
お気づきであろうか1956年文献と2013年文献では、左右が逆である
どちらかが逆配置である図2.1.2の元文献2報は、この配置である。
見た方向が違う


作並駅 地上切換 架線電源切換装置の説明 黒磯駅 車上切換の原点
一番左の断路器の形状に注目 2点切り DCiR、ACiRは架線電流検知装置を示す
今の黒磯の断路器とは上下が逆
20,000Vは、昔懐かしい高圧ピン碍子
鮮明な画像があったので提示する 断路器は、両きりタイプ 水平が交流、垂直が直流

入替標機の下の交直記号は、黒磯へ承継
架線電源電源識別標識の色は同じだが表示形(架線終端標識)が違う
作並試験時は、まだ現在の架線死区間標識(デッドセクション標識)が制定されていなく
架線終端標識で代用されていた(但し色は違えた)


 
単線および複線は、記載ミス こちらが単線用交直地上切換 代表例(作並で実地試験時に決定された)

単線の場合とあるが記載ミス こちらが単線および複線用交直切換 代表例(作並で実地試験時に決定された)
現在の黒磯駅との相違点は、交流機廻線と直流機廻線が別
2017年6月現在の黒磯駅構内配線図と対応する交直切換断路器群 現地調査
現状図を作並で検討された複線の配線図と比較すると、交流機廻線と直流機廻し線が一緒になり交直両用となっている。
 
ここまで作並の記事 
 
東北本線交直地上切替の駅の選定
 
交直地上切替が黒磯駅に決定された経緯が書かれた文献が見つかったので記す
文献には、東北本線の交直切換施設に地上施設が選ばれた経緯並びに黒磯駅がその地点として選定された理由と大略の施設について述べる。とある。
1.直流電化区間との関係から
2.駅の規模から
の2つの見地から黒磯決定に至る経緯が述べられている。
以下要約
車上切換については、常磐線の電化の際に大いに議論されものと考えられ、東北線については、専ら地上切換について研究され、世界最初の「架線電源切換方式」が採用されることとなった。
交直の切替の場所選定は、乗客数(線路容量)及び周辺観光施設の有無によって明暗が分かれた。
当初 黒磯と白河が候補に挙がったが、白河は既に構内施設が大規模化しており、交直地上切替の設備を設けると複雑な運用をしなければならなくなるので、見送られた。黒磯は周辺に観光施設もあり、急行電車が全て停車しても不思議は無く、また黒磯以北は、山間部に入るため上り勾配の開始部分にあたり機関車付け替えの丁度良い地点であった。また駅周辺の開発がその当時開発されてなかったので土地の入手も容易かったことによる。以上要約終わり
一説では、那須の御用邸の最寄り駅となるので全列車停車での運用が丁度区切りが付いてよかったことによるとも言われている。

黒磯駅 地上切換当時の設備内容と配線図 
 
 黒磯駅 地上切換当時の設備内容と配線図が見つかったので記す。地上切換の施設は、作並での検討結果を受けて複線にも対応できる形となっていた。東北本線が電化され黒磯駅での単線での交直地上切換が実施されたのが1959年となっており、その当時 架線電流検知装置は、写真を見ると直流遊流検知装置様の円筒形(現在は角型)が使用されている。(注釈:この場所は、現在のホームから見える切換装置があるところ)
 
 架線電流検知装置の原理は、調べると常磐線で使用されている直流遊流阻止装置の直流検出部と同じであり、この時の実績が1961年の常磐線電化 藤代での車上切換が開始された際の、直流遊流阻止装置に生かされている。黒磯駅が複線化されたのは直流方が1962年東那須野 - 黒磯間複線化、 交流方が1964年黒磯 - 高久信号場間複線化となり、現在の配線図の原型が固定化された。その後西那須野方の電留線が廃止。東北新幹線工事による高久方の電留線の変更等があり現在に至った。      
1959年当時の黒磯駅 配線図 まだ単線であった
ホームおよび跨線橋は現在の位置と変わらない
渋谷甲斐氏は、この図を引用している
上図の青焼版の詳細が見つかったので引用


現在の黒磯駅7番線と8番線の間にあった架線電源識別標識と入替標識
現在の標識と同じ
また後ろ同相セクションの縦幅が広い(FRPが無かったのでウッドセクション)
現在の同位置の信号




現在の4,5番線ホーム中ほどで見える交直切換断路器
4個の交直切換断路器が右204~207に該当する
円筒形の装置が交直架線電流検知装置
207は、その後移設される

交直架線電流検知装置部 拡大
交直フリークの方ならわかりだろうか?! 
これは、常磐線の直流遊流阻止装置の直流検知部分の原型となったものである
 
現在の交直切換断路器 右より204、205、206それぞれ5,6,7番線に該当
今回の6月初めの直流加圧事故は204が直流側に切り替わったため発生 現在は直流側
204直流対応中、205直流対応中、206交流対応中 1959年当時の鉄構のまま

直流電流検知装置(水戸線)

直流電流検知装置 結線図
動作 (文献より引用)
三脚型鉄心の外側鉄心に一次、二次コイルを巻き、中央鉄心に入力コイルと短絡コイルが巻いてある。一次コイルには電源部から交流電圧を加え、2次コイルには交流電圧を整流して、接続されている直流検知継電器を附勢させている。入力コイルに交流が流れると、鉄心内に交流磁束を生じるが、この磁束は入力コイルの内側に巻かれている短絡コイルにより短絡電流がながれることにより打ち消され、2次コイルに影響を与えないとされており、直流検知継電器は半化しない。入力コイルに直流が流れると、鉄心が飽和するので一次コイルのインピーダンスが減少し、一次コイルに直列に接続されている抵抗により一次コイルに加わる電圧も減少する。すると二次コイルの電圧も減少し直流検知検電器は消勢落下する。直流検知検電の落下により、直流遊流が発生していることを検知する。

直流電流検知装置 銘板
 

交直架線電流検知装置

交直架線電流検知装置
 
 
 原理:直流検知は、そのまま利用。交流検知は、入力された交流を直流に変換して検知 
セクションで分離された構内線等に供給する交直の電流を検知する装置。直流1,500V及び交流20,000Vが印加される。構造的には、直流遊流阻止装置の内容と同じ作動方式である。
在線している列車に加圧されている交直電源の電流の大きさ(最低38mA以上)を判定して在線の有無を信号取扱所に送る。信号取扱所では、在線無の状態の時に、交直切換断路器を操作して切換を行う。最近の交流車において消費する電流が小さい場合、誤動作を起こし在線しているのに在線無と判定してしまう例が発生。現車を目視確認して切換えを行っている。装置自体は、1950年代半ばに開発されたアナログ的磁気飽和式の変圧器が原型。現在であれば、ホール素子を用いた判定装置が開発されるであろうが、今まで放置され今回の車上切換によって撤去される。
2017年6月初め 誤動作している信号を現車確認せず、交直切換を行い直流加圧した事故が発生した。 
現在は、交直架線電流検知装置は角型に変更され感度が高くなっているが、最近の交流電車は更なる感度上昇が求められている。


交流検知は、単に整流するだけ
 
                                            
黒磯駅の配線図 作並検討時の原型と比較
鉄道ピクトリアム:渋井甲斐 図15から引用(元文献は、JREA、1959)

現在の互い違いのホーム構造は、作並の検討結果から生み出された効率の良い方法だったようだ。那珂川に掛かる橋梁も、上り線側は、古いので単線時代は、この赤い鉄橋が利用されていたとすると、現在の駅構内への進入方式も頷ける。

 
 交通新聞によると連動装置を電子連動装置に更新し、総進路数も177から89と約50%縮小させるとのこと単線時代の進路数が182あったことからすると大幅なポイントの撤去が行われることとなる。 ちなみにポイント数を数えてみたところ177個も無い。これは一つのポイントで二方向の進入を数えているからである。架線電源切換器は現在の交直切換断路器に相当 数は変わっていない。
 

1959年当時の構内設備一覧
黒磯駅 今後の配線図の考察
 
 さて今後の配線の内容だが、4~8番線は廃止または直流電留線に変更。1番線折り返しと縦列停車 2番は、貨物列車下り専用。3番線は、折り返しと縦列停車による運用。現在の機廻し線は、上り貨物専用とするとコンパクトにできる思う
 
現在の機廻し線は、上り貨物専用とするためか、枕木交換強化されている
黒磯までの東京方からの電車は、10両編成、黒磯以北は、2~5両のDCとECの利用と考えて利用者の同一ホームでの乗り換えを考えれば、縦列停車(現在の村上駅での運用)が望ましい。

または、1番線を下り方貨物専用に切替。2番線に上野方からの電車入線。3番線に白河方の交直電車を入線させれば、乗客の利便性は、損なわれない。
但し縦列停車の場合10両+5両(ECの場合)だとホームの延長が必要となる。E231系1両で20m 10両で200m、E531系1両20m 5両で100m 合計300m+α 必要だが1番線は、300m、2,3番線は、300m、4,5番線は270mしかない。それを考えると現在の2,3番線ホームを利用しての乗り換え運用が妥当な線であろう。

自由研究 黒磯駅 配線変更

最初に行うこと
現在の高久方下り方面進行で、上り本線を経由する部分を解消する。
現在のアンダーパスにある上下渡り線が、ボトルネックなので解消する。
観点 黒磯 地上切替の遺物を撤去

1. 現在の機廻し線を貨物通過用に道床強化
2. 機廻し線の高久方を4番線に接続 ポイントは番数が大きい物
(このときの高久方の交直電車は、5番線で運用。上り貨物は5番及び6番で捌く)
1~2番は、現状のまま運用
3. 3番線高久方を延長して上記機廻し線に接続 高久方からの進入を可能な状態にする。
4. 機廻し線の西那須野方を現在の直流機留線が上り本線に接続する経路に接続
これで上り線の3番線進行と機廻し線の貨物専用線の運用が可能

キーポイント 上り本線(5番)の線路閉鎖工事を伴わない配線経路の確保

現在のアンダーパスにある上下渡り線を運用停止。
以上で、まだ地上切替状態
下り1番線で貨物運用
下り2番、3番でEC・DC運用(高久からの交直両用ECは、地上切替で運用)
乗換えの利便性を確保
上り3番で直EC運用
上り 旧機廻し線で貨物運用

運用が慣れたら1番ホーム 貨物通過用に柵を設ける
上り線にデッドセクション構築 高久方を最初に工事
次に下り線にデッドセクション構築
あとはゆっくり交流・直流機留線の撤去を実施する。
4~6番線は、上り貨物退避用もしくは、那須塩原駅始発の電留線として活用
JR貨物の宿泊施設は、JR東日本の電車線運転区として共用

横に伸びます

拡大します

4番~8番線にかけては、架線柱も新調しているので電車用電留線を設けることも予想される。
または、貨物列車 退避用の運用も兼ねる。
5番線から8番線までの線路 架線柱が新品 右に高久方の伸びるき電線が整列している(赤・黄色・白)

 
交直切換断路器の番号と番線の関係
 
昔(上図)の交直地上切換開始時の単線配線図を見てみると現在の機廻し線が交流加圧であった。
また交直切換断路器の対応番号が
1番線→208
2番線→209
4番線→203
5番線→204
6番線→205
7番線→206
8番線→207
となっており画像の4個の交直切換断路器が204~207に該当する
その後 複線化が行われ機廻し線が交直切換用で207の交直切換断路器の運用となった。
そして8番線は、直流加圧(接地回路付き直流断路器での加圧)となった。また高久方の架線が終端となり高久方からの電気車の進行は不可となっている。
その後 機廻し線の交直切換断路器は207から212に呼び名が替わった。これは7(シチ)と1(イチ)の間違いで発生し事故が起こったことによる。
  
JR黒磯駅でのPPT説明資料から引用 交直機廻し線 断路器が7となっている
エアーセクションと明記してある部分は、デッドセクションに該当する。
 
 
黒磯駅 構内の交直切替断路器は、1959年当時から全部で11個ある。
切換断路器正面向かって左がAC 右がDCの端子となって、中位が架線につながる
2017年6月現在の黒磯駅構内配線図と対応する交直切換断路器群 現地調査 一部見落としがあるかも 

201 跨線橋の傍 直流対応中
201 拡大 直流対応中


見えにくいが右202 変電所付近 右隣は交流用断路器 2基 202交流側にはCTがつながる 直流対応中
交直切換断路器 202 直流大電流が流れる為 バスバーで接続

 202(本線用・5番線)の変電所傍にある交直切換断路器の中線は、銅製のバスバーで引き出され太いき電線でトロリ線に繋がる。これは、貨物列車 出発時に直流大電力を必要とされるためである。208,209は直流電気車での到着運用がほとんどと交流での運用が多いので、それほどは太くないき電線である。

右端 203 4番線 交流対応中

左端下に203の表示 4番線 交流対応中



右より204、205、206それぞれ5,6,7番線に該当
今回の6月初めの直流加圧事故は204が直流側に切り替わったため発生 現在は直流側
204直流対応中、205直流対応中、206交流対応中 1959年当時の鉄構のまま
8番線 直流加圧のみ 架線加圧「直流・入」 周辺は、ぼやかしてある 直流断路器は接地付き
8番線 架線終端標識 架線柱は直流対応碍子 7番線は、交流対応

かつて8番線にEF64 2094号機が駐機していた。 後ろに架線終端標識


 8番線側 直流および上部き電線は旧交流213、214き電線 
一番左 黒磯変電所から伸びる直流き電線デッドセクション部対応2条


212 本来なら207のはず 直流対応中  機廻線 後で継ぎ足しで架台を構築


右より212、208、209、210、211、一番右は、交流断路器
左は1959年当時の鉄構 212と交流断路器は、後年継ぎ足したことが明瞭


在 210,211の交直切換断路器には、架線電流検知装置が付いていない。
この断路器が繋がる経路は、1,2番線の高久方 交直加圧後(主に交流加圧)の経路なので208,209の交直切換に連動しているため、また列車が滞留する恐れがないため、列車の電流検知が必要で無いのである。
この区間が直流に切換わる時は、DC-ELの機廻し時と新幹線高架下の直流電留線への入出の時である。
交流断路器部分 交流構内上り線(エアーセクション内)、交流機留線、交流検修線用、交流下り線(エアーセクション内)
詳細は追えてない、

 

現在黒磯駅構内は、地上切替のカオスから車上切替のコスモスへの途中であることは、幾多のWebで述べられている。

高久側の交流き電線は、すでにFixされており。直流側のき電線がデッドセクションの設置されるであろう方向に近づいてきている。過去にあった交流側き電線も撤去されて、黒磯変電所から駅構内の脇を経由して新設き電線213,214が直接延びている。また黒磯駅構内の交流き電線も、直流対応の断面積の大きい き電線が張られている。これは、駅構内を完全直流化すると電圧が低いため電流の容量を増やさなくては、ならなくなるためである。

さてデッドセクションの設置時期だが、き電系統の工事をする際は、なるべく伸長(夏)収縮(冬)しない春か秋に行うのが過去からの伝統のようだ。多分 進路数の減縮を行うため配線を変更する作業が先におこなわれるであろう。

交流部き電線の変遷
2015年 き電線はまだ敷設されていない

2017年 き電線確認

一番右の架線柱に、旧213,214き電線が吊架されている。黄色のき電線識別番号が書かれている
次の電柱には、黒磯変電所から新しく引き出された213,214き電線が吊架されている

新しいき電線は、橋梁を渡り切ったところで引き止められている

これより黒磯駅構内のところの電柱に新しいき電線が引き止められている
一本手前の鉄構には架線ブラケットにき電線がつながる (車中より)
この先10‰勾配開始

まだ古い214き電線が中央左の架線柱に引き止められ架線ブラケットに繋がっている
新しいき電線214は、まだつなげられていない 2015年


新しい214き電線が架線ブラケットにつながる。旧214は既に撤去 2017年


2015年当時213き電線は、まだ下り線側に敷設されていない

2015年当時213き電線は、まだ下り線側に敷設されていない
2017年 き電線敷設



直流部き電線の変遷
下り線 上部のき電線は11番 奥に場内信号が見える 2017年
一番右 42、12き電線 



錆びた標識の上には新しくエアーセクション注意標識 2017年

2015年 当時時は無かった

エアーセクション注意標識 3両クリア 2017年

エアーセクション注意標識 3両クリア 2017年


エアーセクション注意標識 8両クリア 奥にデッドセクションの標識と架線死区間予告標がみえる
デッドセクション撤去後は、この部分は、構内き電系1~3番線き電線が担当
そのき電線が上部に見える 2017年
構内き電系1~3番線き電線は、この8両クリアの架線柱で接地線「緑」がつながり接地中

新しく直流き電線が張られている。き電分岐線も準備されている。
構内き電系1、2、3番線のトロリ線に接続予定 2017年


中央 機廻し線の上にも新しい直流き電線 機廻し線用のき電分岐線も用意されている
3番線側のトロリ線用き電分岐線
構内き電系1,2,3番線は、同一のき電線につながる 2017年

新しく付け加えられたき電線とき電分岐線 2017年


構内き電系1~3番線き電線に黒磯変電所からのき電線が近づく 2017年


構内き電系1~3番線き電線の下には、接地線「緑」が準備中 2017年
交流き電線からの誘導電流を接地して逃がす
既に、このき電線は、西那須野方の8両クリアの標識がある架線柱で接地されていた

機廻し線用き電線に接地線がつながる
交流き電線からの誘導電流を接地して逃がす

接地線は鉄構にボンド 緑のケーブル
交流き電線からの誘導電流を接地して逃がす


さらに構内き電系1~3番線き電線は西那須野方に伸びる
途中き電分岐線が準備中

構内き電系1~3番線き電線は、歩道橋部分の架線柱に引き止められる



3番線側のトロリ線もエアーセクションで、構内き電系から西那須野方は分離


多分上り方 デッドセクションの直流部分につながるき電線
黒磯変電所付近で引き留め ここが最終ポジション
交流機留線の高久方 直流き電線 き電分岐線準備中 奥のき電線は、デッドセクション直流部に向かう2条のき電線

構内き電系1~3番線用き電線が架線柱に引き止められる アンダーパス手前の架線柱


黒磯変電所から延びる上り方デッドセクション用き電線、まだ先に延長するようだ


構内き電系1~3番線用き電線が架線柱に引き止められる

黒磯駅構内を通過する左208,209交直き電線 右 上り方デッドセクションに向かうき電線



新幹線高架下の電留線も既に直流対応の架線に交換されている。
新幹線高架下 電留線は直流対応 接地極付き断路器


さて文献やWebを調べると上り線側 交→直のデッドセクションとしては、高久側のみの記載がほとんどであるが、西那須野方の歩道橋部分にもデッドセクションモドキ(エアーセクション)が存在している(2015年2月確認)

これは現在もそのままの姿である。2つのデッドセクションが平行に張っている。下り線側の高久方にも同様な設備があるかどうか調査したところ、高久方の交流機留線脇にもデッドセクションモドキが存在している。どうやらデッドセクションのある線路の両端には黒磯ではデッドセクションモドキが設備されている。交直切換断路器も撤去されるので、このデッドセクションモドキも無くなる運命にある。

デッドセクションモドキ(エアーセクション)
西那須野方(上り)
歩道橋 上り線方


2本のデッドセクションが並行に張られている。

別角度


確かに2本のデッドセクションが並行に張られている


平行状況 互いの架線は、つながっている


EH500形 通過中

デッドセクションモドキの高久方(上り線) 交直切替断路器202からのき電線が架線ブラケットにつながる
架線柱に緑のデッドセクション表示

緑のデッドセクション表示 電源限界 両と読める
高久方(下り線)
4,5番線ホームから遠望 碍子が連なるデッドセクションがあるように見える

西那須野方と同じように2つのデッドセクションがトロリ線を挟んで平行に並ぶ




緑のデットセクション標識は見当たらない 1番線線路
前提 交直デットセクションは、高久方に設置されるとの予想であるが、常磐線の藤代変電所のデッドセクションは藤代駅構内にあるとのWebでの記載から考えると、現在の黒磯駅の構内の範囲内に設置されるであろう。

高久方は、那珂川の橋梁を渡りきったところに、黒磯駅構内の表示がある。那珂川を渡り調査をすると上り線側のPs機外停止の表示(赤信号以外での停止・停車場以外での停止)また 交直切換の真新しい標識がある。その後ろには、場内信号機(手信号代用機)がある。
高久方 上り線
  現在黒磯駅以北は、場内にATS-P→Sの表示があるのでATS-Sでの対応だが交直車の車上切替を自動で実施する場合ATS-Pの導入が必須となる。ATPS-Pは、既に新白河駅以北の駅構内には導入済みであり新白河駅での信号用建屋の建設は、線区の交直車上切替のためATS-P形への変更対応ためであろう。那須塩原以北のATOSの導入は、東京通勤圏外なので見送りと思われる。場外高久方で見られたPs機外停止の表示は、たぶんATS-Psでの停止位置(場外)であろう。
高久方 上り線 これより黒磯駅場内 交直切替の標識も新しい
これは、10月からの交直両用電車の運用の際に現有のデッドセクションを利用した車上切換の
試験が行われるためかもしれない

参考 西那須野方 これより黒磯駅場内 奥に場内信号が見える
交直(直交)デッドセクションの長さについて

森 忠治;1969
交直デッドセクションの長さは、車両の異電圧区間への冒進保護方法によって決まる。
この長さを常磐線電化時の算定結果から求めていたが、列車高速化により従来の算定方法を見直す必要が出てきた。現車試験を行いこの算定法を確認してデッドセクションの長さを再定義した。この文献が昭和44年(1969)の再定義として、その後の文献にでてくる内容である。

この時の交直接続問題議論は(切替、切換は、混在しているが文献そのまま)
1. デッドセクション通過時 乗務員の切替操作によって行う→車上切替
2.一斉惰行、順序力行方式 
セクション手前で切替操作 車両全遮断器開放、セクション通過後新たな区間に進行した電動車から順次自動的に遮断器投入し力行に遷移する
3.切換順序 
車両の切換SWにより車両負荷を開放、ABBもしくはVCBを開放。車上の交直切換器、転換器の転換が行われデッドセクション通過後、架線電圧の印加を受けてABBもしくはVCBを投入。運転を継続となる

ここで問題となったのが、うっかりミスで切換をしないで冒進した場合である。
直→交は、冒進区間のAC架線電圧を検知。車両側の遮断器開放
交→直は、主変圧器手前の主ヒューズ溶断で車両側主回路解放
の2種がある。この考えで一意的に求められたセクションの長さは、機関車のパンタ間隔約12mとAC20kV、DC1500Vの絶縁体長さ(FRP絶縁体)8mを加えた約20mであった。(この8mのセクション長は、交交セクションの長さとなっている。豊原区分所での実車試験結果から導出)

この考えで、本線上の実際試験を行ったところ直→交の場合、瞬時であるが遮断器が開放する前にAC20kVが電気回路に侵入する可能性が出てきた。
そこで交流冒進保護方法が考え出された。それはデッドセクション進入時に確実に架線電圧0を検知。遮断器を開放して完全に車両回路から切り離す方式である。直→交に進行する際のセクション長は、一意的に約45mあればよろしいということになった。

その後 交直区間での車上切換箇所が増える可能性を踏まえ この直→交に進行する際のセクション長、約45mについての理論的根拠が必要になった。

交→直は、前述のように約20m 直→交は以下の表によって算出された()は401系電車
交直デッドセクション(直→交)の場合
 
A=アーク引きの長さ 100ms
B=直流電圧継電器落下時間 直流を検知継電器作動(この場合は、架線電圧0検知)400(250)ms
但し直流区分セクション通過時に作動しないよう遅延を入れる
C=遮断器作動時間 300ms
D=余裕 100ms A~Cまでの余裕
E=前後パンタ間隔 xm 電気機関車両パン時のパンタ間隔
A~Dまではmsという時間の単位であるが、Eの単位はmで長さの単位である。
機関車
最高スピード95km/hで進行するとsあたり ((95×1000)/60)=1583m/min=26.3m/s
EF80=900ms=0.9s  26.3m×0.9=23.7m←A~Dまでの長さ+パンタ間隔14.05m=37.75m≒40m

電車(401系・電車は、動力車各個で操作実施なのでパンタ間隔は0で計算)
最高スピード110km/hで進行するとsあたり ((110×1000)/60)=1833.3m/min=30.6m/s
401=750ms=0.75s  30.6m×0.75=22.95m←A~Dまでの長さ+パンタ間隔0m=23m≒24m
これら結果により、理論的裏付けが取れ、
交→直は、20m 直→交は、45mとなった。但し関門トンネルの場合 デッドセクション長を取れず
また速度も遅いことから26mとしている。


昭和44年 北陸本線 糸魚川-梶屋間のセクション新設を契機に、この区間にEF81が投入されることなり列車速度の向上を目的として再度見直された。

EF81電気機関車は、最高スピードでは弱界磁運転状態にあり架線電圧0になった場合の主電動機の逆起電力による減衰が緩慢になるため既に規定された直流継電器作動時間が長くなり交流区間への冒進が発生する恐れがあった。そこで現車試験を行い、その結果に基づいて新たなセクション長を決定した。
A=アーク引きの長さ 200ms 高速となるとアークが流れるので安全を見ている
B=直流電圧継電器落下時間 直流を検知継電器作動 900ms
但し直流区分セクション通過時に作動しないよう遅延を入れる
C=遮断器作動時間 210ms
D=余裕 100ms A~Cまでの余裕
E=前後パンタ間隔 xm 電気機関車両パン時のパンタ間隔
A~Dまではmsという時間の単位であるが、Eの単位はmで長さの単位である。
機関車EF81形
最高スピード110km/hで進行するとsあたり ((110×1000)/60)=1833.3m/min=30.6m/s
EF81=1410ms=1.410s  30.6m×1.410=43.15m←A~Dまでの長さ+パンタ間隔15.2m=58.4m≒60mとなった。
新設の直→交 デッドセクションは、この結果60mが標準となった。

昭和44年(1969年)以前に既にデッドセクションを設けていた場所は、この再定義によりセクション長を見直す必要がでてきたが、検討の結果 従来どおり据え置くこととなった。そして情勢変化の場合実情に合えあせることで個別対応となった。

結びで
冒進に対応する場合は、長いセクションしかし高速運転車両には惰行区間が長くなり速度低下をおこし、またセクション内に停止する場合もあるので、できる限り短いセクションが望ましい。セクション長は、主電動機の残留電圧の減衰状態によって、その時間が変化するので既存セクションが延長する事態なれば、地点検出などの残留電圧に左右されないで方法で交流冒進を防ぎセクション長の短縮を講ずるも一方法と思われる。と結んでいる。

現在交直両用電気機関車はEF81を除きインバーターコンバター制御の交流誘導電動機を使用している。交流誘導電動機の制御は、半導体制御なので直流直巻電動機のような残留電圧は発生しない。東北本線での運用は、JR貨物がEH500(インバーターコンバター制御)に全面切替わりJR東日本が持つ旅客列車を牽引できる交直両用電気機関車(直流直巻電動機)はEF81だけになってしまった。したがって黒磯の直→交 デッドセクションは、現在の60mよりもEF81が低速で通過することとすれば、短くできるであろう。

EF81黒磯駅場内進行60km/h(デッドセクション通過時の速度)の場合
60km/hで進行するとsあたり ((60×1000)/60)=1,000m/min=16.7m/s
EF81=1410ms=1.410s  16.7m/s×1.410s=23.5m←A~Dまでの長さ+パンタ間隔15.2m=38.7m≒40m

この昭和44年(1969)文献が、おおもとで以下の文献が出ている。この中には現在廃止となっている区間もあるが老生常譚ということで引用する。


  渡辺 寛;1978 既に1969年の文献でEF81の例示がされている。
昭和44年以降

元文献は、森 忠治 1969


昭和44年以降と明記
牧野 秀臣;1977
実際の交直デッドセクションの形状を記載 



 
北陸線 米原・田村間 湖西線に直流遊流阻止装置がついているのは、この当時
信号回路が直流軌道回路であったため

黒磯駅での現状のデッドセクション


1番線側 おなじみの架線死区間標識(デッドセクション標識)と架線死区間予告標識

1番線側 おなじみの架線死区間標識(デッドセクション標識)と架線死区間予告標識

デッドセクション通過中 直流車

1番線側 おなじみの架線死区間標識(デッドセクション標識)と架線死区間予告標識 
西那須野方 エアーセクション標識が新しく加わる

黒磯方面 車中から

西那須野方面 車中から



上り線 架線死区間予告標識 左 
上り線 架線死区間標識 遠望 右

上り線 架線死区間予告標識 遠望

上り線 架線死区間標識(デッドセクション標識) 遠望

上り線 高久方 デッドセクション始まり

上り線 西那須野方 デッドセクション終わり


交→直のデッドセクションは、常磐線では1本ものだが、黒磯は設置された
当時から中央に無加圧のトロリ線を挟んである。無加圧部の長さは9m

拡大 交→直のデッドセクションは、常磐線では1本ものだが、黒磯は設置された
当時から中央に無加圧のトロリ線を挟んである。
新設デッドセクション位置の考察

デッドセクションの位置 Webでは色々位置の推定の例がUpされてきている。
長さは
直→交で40~60m 両端にデッドセクション中央に、無加圧のトロリ線を挟んだ構造
速度が速いと長くなる。

交→直で20m デッドセクションのみ 現状黒磯の交→直デッドセクションは、中間部に無加圧のトロリ線があり両端にデッドセクションが繋がっている
位置は、交→直も直→交も高久寄りの場所となる。

ここで考慮しなければならないデッドセクション設置の条件は、架線柱の間隔となる。7/9現在の高久方の架線柱間隔は、広すぎるのである。通常の架線柱のスパンは、50mあるが碍子形のデッドセクションを設置するとなるとある程度の重量を保持できる架線柱間隔が必要である。先にあげた文献上のスパンは、最大で40mでとなっている。しかし現在の常磐線では、20m間隔で架線柱が建てられている。JR東日本は、多くの場合碍子形のデッドセクションが多くあり、軽量のポリマ碍子を利用したものは、あまり見かけない。最近の東北新幹線絡みのセクション、日本海縦貫での村上セクションでは、軽量化対策と塩害対策でポリマ碍子が用いられている。黒磯はポリマ碍子製が採用されるのであろうか

常磐線 藤代デッドセクションの例だと
直→交 架線柱間隔20+25+25mの4本が必要である。また現在の西那須野方では直→交20m間隔で3本取っている。これらを考慮すると今後新しく架線柱を立てられた部分にデッドセクションが設置されると見てよいだろう。さて交→直では35m 架線柱2本の間に挟まれる必要がある。どちらにしても7月現在の架線柱間隔では、広すぎる

架線柱間隔と交流・直流き電線引止め位置
一箇所15m部分があるが、下り線側にポイントがある

交→直のデッドセクション位置の推定(最低20m)
さて上り線デッドセクションの位置であるが、アンダーパスの付近であろうと考えている。那珂川を越える橋梁の上にはデッドセクションが設けられないだろう。理由は、デッドセクションは、架線と違いある程度の幅のFRP素材で構成されている。そのため、横風を受け易いので川風(川に沿って吹く風)によって振動が発生する恐れがあるためである。そして橋梁上に現在の架線柱を生かして中間部に架線柱を建てることは、無理である。橋梁上の架線柱は橋脚を支持台として利用しているので、新たな架線柱は建てることができない。また交→直のデッドセクションの長さは、普通20mくらいなのでアンダーパスの付近で十分距離が採れる。切替えの方法であるが、現在あるエアーセクションの末端(軌道中心から外れた位置)に別途デッドセクションを構築。架線ごと本線に移動し、片方のエアーセクションを解除して繋ぎこむ方式が簡単である。現在の黒磯駅の交→直のデッドセクションは、中間部に架線を挟んだ構造であり直→交のデッドセクションのミニ版が設備されているが、ここは1本ものであろう。
現在の214き電がつながる架線柱を利用して、架線柱を立てなくても20mの交→直デッドセクションは、構築できるが213き電線との取り廻しが面倒である。

直→交のデッドセクション位置の推定
下り線側のデッドセクション(最低40m最高65m)の位置であるが、2案が想定される。それぞれ勝手に想定してみよう。
常磐線の藤代デッドセクションの例だと架線柱4本の間にデッドセクションが張られている。常磐線は、高速通過するので約20+20+25=65mの距離が必要となっている。 黒磯の場合運用 西那須野から黒磯、高久方面は、上り坂(10‰)であるので貨物の運転士交代がないとすると高速通過が考えられる。マージンを考え60mとして考えてみよう。

直→交のデッドセクション1案(廃案) 
直→交のデッドセクションの長さは、最低でも40mくらい必要であるので、高久側 那珂川の橋梁を渡りきった場所からBTセクションがある曲線の手前までの部分で対応できるが、現に交流き電線は、直前の電柱に引き止められているので、さらに延伸させる必要がある。但しこれでは、黒磯駅構外となってしまう。またこの部分から10‰の上り勾配と曲線が開始となっているので避けられるだろう
10‰ の標識 下り方 高久方

直→交のデッドセクション2案
先の交→直のデッドセクションのところで述べたが、新設の交流き電線が引きとめられている電柱より黒磯方に設けられると考えると、全体が橋梁部分に架かる。風の影響を受けないと踏んでいるのであろうか、横風対応型のデッドセクションになるのか不明である。また橋梁に架線柱は追加できないのでデッドセクションのスパンを考えると橋梁上では架線柱の間隔は50mもありセクションの敷設は、ないと思う。那珂川は、この橋梁位置から下流は、大きく蛇行しており川風は、蛇行部の尾根で遮られるのであろうか?橋梁部分手前(黒磯方)上り線にもエアーセクションがあり、このエアーセクションを利用した全交換が予定されているのかも知れない。しかしながらこのエアーセクションの高久寄りには、ポイントがあり4,5番線から発車した郡山行きが通過する。このポイント以降高久方橋梁手前にデッドセクションの位置を取るとすると長さ45mは十分採れるが架線柱の追加が必要となる。現在のポイントを廃止して経路を新しく作りかえる場合も想定できる。この場合交流機留線部分を撤去して、線路を引き直しするのであろう、既に交流機留線の後方には、直流のき電分岐線がセットされている。また機廻し線の道床と枕木の強化も行われているので機廻し線を直線延長して上り線側と繋げるかもしれない。




JR東日本 大宮支社発表プレスレリース;東北本線黒磯駅電気設備改良切換工事に伴う列車運休及びバス代行輸送計画についてのお知らせ 以下引用

JR東日本発表の黒磯駅暫定配線図とデッドセクションの位置 pdf引用
この発表は、あくまで暫定と思われる。高久方から進入する経路と黒磯止まり高久方への経路が平面交差する。
考えられる想定としては、
交直デッドセクションの位置は、確定。1月以降徐々に配線を変更
現在の機廻し線と1~3番線の運用が最終形態だと考える。

この奥にデッドセクションが設置されると予想 左手側


下り交直デッドセクション予想位置 DC-AC DS1

下り交直デッドセクション予想位置 DC-AC DS1

下り交直デッドセクション予想位置 DC-AC DS1


上り交直デッドセクション予想位置 AC-DC DS1


上り交直デッドセクション予想位置 AC-DC DS1


列車選別装置の確認
黒磯駅完全直流化となるとこの名称も変更になる。

交直切換を自動で行うための装置
ATS-Pの信号を利用し地上子と車上子の間で通信しデッドセクションを自動で交直切換を行う。
鉄道ピクトリアムの記事を読むと、列車選別装置の地上子は、場内信号の手前に置かれているとのことなので標識で「これより黒磯駅構内」と書かれている外側を調査した。高久方は、那珂川の橋梁を渡った先の上り線側に場内信号があり手信号代用器が付属、さらに高久方に地上子がある。そのうち2つは新設されたようだ。西那須野方は毛利前踏切の先に「これより黒磯駅構内」と書かれた標識があり、またその場所に信号機があり手信号代用器が付属されているので、その手前にある地上子2つが該当する。踏切の西那須野方の地上子は、踏切通過の確認用と思われる。高久方には新品の交直切換の標識があるので、最初は上り方から切換えるのだろうか?

西那須野方 場内信号手前にある地上子


西那須野方  踏切より 遠望 奥の2つが列車選別装置用の地上子か? 2つ連続して置かれるのが常


高久方 場内信号手前


場内信号 5,4の下には手信号代用器がある。

架線死区間予告標識と線路内に地上子


地上子が新設されている 2つ連続して置かれるのが常 列車選別装置用の地上子


ケーブルはまだ接続されていない 左 2つの地上子

デッドセクション構築の時間帯

 デッドセクションの構築工事は、旅客よりもJR貨物の運行を優先して決められるであろう。旅客は代行バスでの対応が可能だが貨物は、無理である。JR貨物の2017年時刻表4月発表で黒磯駅部分の貨物の停車時刻及び停車時間、各列車の間合いを調べてみた。

参考 黒磯駅運転士交代時間割



できるだけ貨物列車の運行を妨げない時間帯は、

下り線(直→交)黒磯駅出発直後にデッドセクション通過とすると
夜間3051列車黒磯発03:02 次4081列車黒磯発05:26の間2時間24分
昼間3087列車黒磯発11:16 次3055列車黒磯発14:29の間3時間20分
夕方8161列車黒磯発16:01 次8091列車黒磯発18:58の間2時間57分

上り線(交→直)黒磯駅到着前にデッドセクション通過とすると
夜間3080列車黒磯着20:09 次4080列車黒磯着22:35の間2時間26分
夜間3080列車黒磯着00:21 次3084列車黒磯着02:40の間2時間19分
昼間3056列車黒磯着03:42 次8054列車黒磯着08:20の間4時間38分
最短でどれも2時間弱 最長で上り線の4時間弱の時間帯しかない。

上下線同時に切換を行うのであろうか
 この間に線路閉鎖・き電停止・検電、接地線取付け デッドセクションの割り込みを実施して接地線除去・絶縁試験・復電・検電・交直き電開始・絶縁試験 試運転列車を通過させて運用開始しなければならない。黒磯駅両端のき電停止部分は、交流区間は、豊原区分所。直流区間は、黒磯駅手前のエアーセクションで区分すれば最小限の停電区間での施工が可能となる。(黒磯変電所・停止)数本の貨物列車の運用変更・もしくは運休が必要になるのであろうか。常磐線が復活していれば、迂回経路がとれるが2020年まで時間が掛かる。

力行可能なデッドセクション
  文献によるとこの部分と同じような通行状況でのデッドセクション割り入れが、青函トンネル手前の青森西の変電所デッドセクションで実施され、力行可能なデッドセクションを割り入れて対応したそうである。この場合の停電時間は、約30分とのこと
以下に文献から構造を示す

力行走行可能な切換対応デッドセクションの開発


力行走行可能な切換対応デッドセクションの開発 JR東日本 三和テッキ
力行走行可能な切換対応デッドセクションの割りいれであるが、最初から構築したものを移設すれば、簡単である。
文献でも以下引用
既設の電車線にデッドセクション(8m)の新設を行うには、少なくとも60分程度のき電停止間合いが必要である。また事前にデッドセクションを新設し、き電線を仮設する施工方法が考えられるが、使用開始前のデッドセクションに力行走行で列車が進入した際に、アークによるセクションインシュレーターの損傷等が懸念される。こら課題を解決し、限られたき電停止間合いで確実な切換を行うためには、力行走行できる電気性能を持ったデッドセクションを事前に新設し、切換当日まで力行走行可能とさせ。切換当日は通常状態のデッドセクションとして使用開始を行うことが可能となるようなデッドセクションを開発することをコンセプトとした。引用終わり
とある。(三和テッキはWebを調べるとデッドセクションのメーカーである)
発想は、面白いが二度手間のような気がする。

黒磯駅 構内のいろいろなセクション

代表例と位置は図版で示す 


 直流2号 三和テッキ 代表例 西那須野方 渡り線と高架下電留線に使用
図番4、5、38、39
直流2号 三和テッキ Webから引用
 

直流用Y形三和テッキ 代表例 無電圧区間を少なくする構造 直流機留線に使用
図番6~11
直流用Y形三和テッキ 三和テッキWebより引用





交流同相用セクション 代表例
多数利用


ポリマ碍子形は交換されている 2015年当時

ポリマ碍子形は交換されている 2015年当時

交換された新品のセクション 碍子製


交流ひし形セクション 代表例
図番13、18、20、22、26、29、34 


デッドセクション 代表例
図番12、35



デッドセクションモドキ 代表例
図番19,46



エアーセクション直流 代表例 
図番1、2、3



エアーセクション交流代表例
図番47、49


両パン・片パンの対応(EH500)

現在の黒磯駅での貨物運用は、EH500形であり、直流区間を両パンで運行、黒磯駅で停車後 地上切換で片パンに変更されている。その逆も実施されている。

  交流区間は、き電区分所及び変電所直下での異相混触防止のため片パンでの運行が必須と言われているので黒磯駅直通(直→交)の場合 通過時 断路器を作動させてパンタ1基からの集電での両パンで次の豊原区分所(き電区分所)を通過するか、高久駅 黒田原駅で停車(この場合本線停車)片パン対応となるのであろうか、さらには白河変電所を通過後 待避線の長い矢吹駅で停車後片パンにするのであろうか?
逆の場合 交→直の場合もデッドセクションに入る前に両パン上げにする必要がある。 常磐線(交→直)の例だと石岡駅で両パン上げにして土浦変電所、牛久き電区分所を通過する例があるので、おそらくは直通運転では事前にデッドセクション手前で両パンにして1基は断路器操作による1基集電での対応だろう。もしくは、黒磯駅にはJR貨物の機関区があるので、そのままデッドセクション後の直流部分を片パンで短い区間通過。黒磯駅で停車後運転士交代の際に両パン上げを行うのであろうか この場合デッドセクションまでの直流区間のき電線を太くし、き電分岐線も通常の間隔より多く設置しないとEH500進行時の片パンで電圧降下が発生するが、高久方から黒磯は、下り坂になるのでノッチの数も少ない対応なので大丈夫であろう。
車上切換とは、言っても黒磯駅にJR貨物の運転区があれば、停車して乗務員が交代することには変わりは無い。
 



両パン到着 直流

パンタ下げ
パンタ下げを信号扱い所に通告 架線電源識別標識は、直流のまま

2番線 一瞬 架線電源識別標識が消灯  交直切換断路器 交流切換中
1番線側は、直流のまま

架線電源識別標識が交流表示 信号 進行表示 交流加圧  入換信号は停止信号

交流 片パン上げ 出発 下り方

交流 上り片パン


直流 両パン 上り 進行

黒磯変電所

受電
JR東日本 矢板変電所 東電154kV 降圧66㎸受電 JR自営送電線で西那須野変電所経由で黒磯変電所まで送電されている。この矢板変電所154㎸と66㎸の共架がみられる、まれな変電所
都心部以外で154㎸受電は、岡部交流変電所と矢板変電所(新幹線は除く)くらい



黒磯変電所に向かう66kV  西那須野変電所からの送電線
奥 黒磯変電所


黒磯変電所に向かう66kV  西那須野変電所からの送電線
奥 黒磯変電所 旧猪苗代幹線の下を潜る


高さ6mも無い 黒磯変電所に向かう66kV  西那須野変電所からの送電線



黒磯駅構内の直流運用
(変成設備は、そのままで直流運用の大電流化・ き電線の引き回しが変更)

    黒磯変電所の直流き電線は、現在4回線が引き出されている。キュービクル形の断路器が5台あるが、そのうち1台は、Z母線用(注釈:共用母線 建屋内の直流高速度遮断器が故障した場合への対応)の断路器が収納されている。
採番11と12は、西那須野変電所からの き電線で11は、下り線で上り坂のため き電線が2条。12は上り線で き電線が1条である。また通常は13と14が下り方面に引き出されるのであるが、直流末端の黒磯であるため、13と14は、構内専用での運用となっている。

    黒磯駅構内は、本線とはエアーセクションで分離された直流構内き電専用線での運用がされている。これは今までの黒磯駅構内の運用と同じだがエアーセクション間での停車による架線溶断を防ぐため注意の標識が新しく付け替えられた。


錆びた標識の上には新しくエアーセクション注意標識 2017年 下り方


3番線側のトロリ線もエアーセクションで、構内き電系から西那須野方は分離


   西那須野変電所からの黒磯変電所までの並列き電区間は、12番のき電線は、黒磯駅手前から架線には き電分岐線で繋がらず、上り線は、黒磯駅構内から伸びてきている42番き電線で き電されるようになっている。黒磯駅構内には、現在3系統の新規な直流き電線が敷設されており、架線に繋がる き電分岐線も準備されている。き電分岐線は1番線から3番線が同一の直流き電線に繋がる。これらは、真新しく赤銅に輝いているそして2条の敷設である。また機廻線専用の直流き電線も敷設された。こちらは1条である。黒磯変電所から、高久方アンダーパス手前まで2条のき電線が引かれている。これは上り線の交→直デッドセクションに利用されるのだろう。き電線は、交流き電線と平行に張られているため、誘導電流による感電を防ぐ目的で これら新設き電線は、運用時まで接地されている。


黒磯駅構内 現在の直流き電線の採番 画像で確認できたもの
11 下り 西那須野変電所片送り 並列き電2条 上り坂のため
12 上り 西那須野変電所片送り 並列き電1条
21 電留線 直流機留線
23 電留線 新幹線高架下 直流電車電留線用
41 構内下り 
42 構内上り 黒磯駅西那須野方構外で上り線にき電
43 構内下り
44 構内下り
45 構内
46 構内
47 構内

将来の直流き電線の採番(推定)
11 下り 西那須野変電所片送り 並列き電2条 上り坂のため
12 上り 西那須野変電所片送り 並列き電1条
21 電留線 直流機留線
23 電留線 新幹線高架下 直流電車電留線用
41 構内下り 黒磯駅下り線側 西那須野方エアーセクション・交直デッドセクション間
42 構内上り 黒磯駅西那須野方構外で上り線にき電と交直デッドセクション間

42き電線が架線につながる エアーセクション部 上り方12き電線はスルー

42き電線のエアーセクション部

見えずらいが奥が整流用変圧器がある変成部分

2015年当時の直流き電線引き出し部

2017年 新しい鉄構が組み付けられてき電線がつながる

直流き電線部



赤銅色のき電線が残される直流き電線

1~3番線の構内き電線はまだ未接続


左 キュービクルに収まられた直流断路器 右 電力ロ波器


この赤銅色のき電線が11、12の西那須野方につながるき電線




構内運用のき電線が新しい鉄構につながる 下部よりブスバーの接続部が伸びる

多分 上り方 デッドセクションに伸びるき電線 2条


構内き電線 分岐用断路器

11及び12 き電線 西那須野方 11は下り方で登り勾配のため2条

インピーダンスボンド 中性点につながる帰線


新しく設置された変電所からの帰線がつながるインピーダンスボンド
 

黒磯駅構内の交流運用
(き電線の引き回し単純化)

    交流側 キュービクル形の箱に碍管のケーブルヘッドが付いている機器 
常磐線で見かけるGIS形の遮断器である。黒磯変電所の交流部分は、藤代変電所より複雑である。デッドセクションでの車上切換となると基本は、変圧器から出力される単相を断路器、遮断器、断路器、遮断器2つでき電線213と214に分割するだけになる。交流部分の構内配線は必要なくなる。現在の既に運用されている新しい き電線のみを残し、全て撤去となる。キュービクル型のGIS遮断器は、上下タイき電もできるようになっている。ケーブルの引き込みは、ケーブルブッシングが2個でている部分から行われている。

   黒磯変電所は、交流区間末端の変電所なので三相の内の2相を使い単相を取り出している。
そのため、1回路しか出ていない。この1回路分を白河変電所方上下に振り分け、また構内共用き電線として利用している。予備の変圧器がないので、交流部脱落のときは、豊原区分所 延長き電 白河変電所き電となり、末端の黒磯変電所交流部では、上下タイき電が行われる。そのためキュービクル形の遮断器が設備されている。

現在ある通常形の遮断器2台のうち221と表示されているのは、撤去となるだろう。残り1台は、共通母線225なのでキュービクル形の遮断器の定修・故障時のため残される。交流機留線は解体撤去 黒磯 車上切換の場合 構内専用線は、必要なくなるので交流き電設備は、新設の213、214き電線を残して全て撤去となるだろう。

黒磯駅構内 現在の交流き電線の採番 画像で確認できたもの
212 構内交直部(機廻し線)
213 下り交流専用 白河変電所方 豊原区分所送り
214 上り交流専用 白河変電所方 豊原区分所送り
221 電留線交流専用
241 構内下り交流専用
242 構内上り交流専用
244 構内上り交流専用
245 構内交流専用下り一部分
246 構内交流専用上り一部分
202 構内交直部 5番線・上り本線共用部
203 構内交直部 4番線
204 構内交直部 5番線
208 構内交直部 1番線
209 構内交直部 2番線
210 構内交直部 1番線2番線共用部
211 構内交直部 1番線2番線共用部

将来の交流き電線の採番(推定)
213 下り交流専用 白河変電所方 豊原区分所送り
214 上り交流専用 白河変電所方 豊原区分所送り
のみ
矢板変電所からの66㎸ 2回線 受電

3相から2相RとSが右単相変圧器66㎸降圧20㎸につながる 2相遮断器を経る

単相変圧器 66㎸降圧20㎸につながる 66㎸受電端

単相変圧器左端は、左にある直列コンデンサにつながる。右端は、上部に伸びて断路器を経て共通母線に繋がる

直列コンデンサと保護回路

画面中央左から右20kV き電線


20㎸き電線は、途中ケーブルヘッドを経て左にある2つの遮断器につながる

 




単相変圧器からの20㎸は、ケーブルヘッドを経る ケーブルヘッド下部のケーブルの行先は、キュービク形の遮断器


ケーブルヘッドを経た20kVき電線は共用および構内用遮断器に並列につながる

ケーブルヘッド下部のケーブルの行先は、キュービク形の遮断器(常磐線で見られた形)タイ接続可能な内部構造

キュービク形の遮断器の天井部から引き出されたき電線は
213および214として豊原き電所まで伸びる架線につながる

最後まで残る213,214き電線。他の交流き電線は、黒磯駅直流化のあかつきには撤去

2015年当時は、まだ工事中

 

2017年 213,214に繋がっていた電圧計は、撤去
 
2015年当時は、まだ残っていた



新しい20㎸き電線 デッドセクション先の架線につながる

その他
2017年 入換信号機の上に黒ビニールで覆った信号灯


拡大 2017年 入換信号機の上に黒ビニールで覆った信号灯

2015年当時は無かった

2015年当時は無かった 

2015年 待機線で待機 左 検修線で待機 右


2015年 直流機留線で待機

2015年 直流機留線で待機
 
配線図 確認用 画像










脱稿


参考文献(順不同)

大木英夫;交直接続設備について:交通技術:1956,Vol.11,No.13,pp.12-15 作並の検討
舟田正男ら:交直接続設備の信号保安装置:交通技術:1956,Vol.11,No.3,pp25-27  作並の検討
吉越三郎;交直接続と信号保安設備:信号保安:1957,Vol.12,No.9,pp.296-301作並での動作
打田富雄;黒磯駅における交直接続設備:交通技術:1958,Vol.13,No.7,pp.30-32黒磯駅の選定 
小泉章三;黒磯駅の交直接続設備:JREA:1959,Vol.2,No.8,pp.38-40
Kとしか書いてない多分小泉章三;黒磯駅の交直接続設備:交通技術:1959,Vol.14,No.6,pp219
久保 敏:交流電化と交流・直流接続の歴史:鉄道ピクトリアル:2013,Vol.63,No.6,pp.17-21
作並の配線図1956年の文献とは配置が逆

黒磯駅 構内配線図は配線略図.netからの引用一部現地調査で改変
出典(ホームページ名「配線略図.net」と、アドレス「https://www.haisenryakuzu.net/

田代淳:直流游流防止装置の保全について(図2 直流電流検知装置 結線図・動作引用)
鉄道電気技術研究会発表会論文,2001,11th.pp.11-16

図15
渋井甲斐:交流・直流切換セクションを歩く;鉄道ピクトリアル,2013,Vol.63,No.6,pp49-73

森 忠治:交直デッドセクションについて;電気鉄道:1969,Vol.23,No.10,pp.27-29
牧野秀臣:交直デッドセクションの現状;鉄道ピクトリアル:1977,Vol.27,No.9,pp41-43
渡辺 寛:交・直セクションの長さ決定のルーツと現状;電気鉄道:1978,Vol.32,No.11,pp21-23
米澤敬司ら:
力行走行可能な切換対応デッドセクションの開発:平成21年電気学会産業応用部門大会:2009,3-52,2009/8/31~9/2三重

JR貨物時刻表4月号から黒磯駅通過部分を引用 Excelで加工

図1.2.1 引用 :作並駅構内配線図:変電所一般,pp.89,き電変電シリーズ,日本鉄道電気技術協会編これは、元1956年文献からの引用

三和テッキWeb セクションインシュレーターの項
http://www.tekki.co.jp/products/list/train/product_train06.html

JR東日本 大宮支社発表プレスレリース;東北本線黒磯駅電気設備改良切換工事に伴う列車運休及びバス代行輸送計画についてのお知らせ
ttp://www.jreast.co.jp/press/2017/omiya/20171124_o01.pdf 2017年11月24日時点

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