自営盲腸送電線先の変電所
先のJR東日本 蕨交流変電所事故で、蕨交流変電所から送電していた浦和変電所が盲腸送電線先の変電所であったため、東北本線、京浜東北線が長時間停電を余儀なくされた。このためJR東日本では、解決策として浦和変電所に別系統で送電線を敷設する解決策を採るとの報告が上がっている。
蕨交流変電所における火災に係る原因及び今後の対策について JR東日本のプレスリリース 2022/04/12発表
この場合 次変電所としては、大宮変電所がありTEPCO宮原電源が導入されているので敷設ルートとしては
1.東北本線沿いに管路を2回線引く
2.埼京線 南与野変電所から、さいたま市の都市計画道路の共同溝を利用し2回線を引く
方策が考えられる。実は南与野変電所から浦和変電所への送電経路は過去にあったが特殊なパイプ型送電線であったため都市計画道路が建設された際に撤去され、蕨交流変電所から最初は1回線、その後2回線化された。一番簡単なのは共同溝を利用して2回線を引くことであろう。
1026. JR東日本 パイプ型地中送電線の敷設跡 その後 トレンチ確認
実は、この都市計画道路の沿線には、NTT常盤ビル、埼玉りそなデータセンタなど通信の重要拠点が集まっている。そのため都市計画道路は共同溝が設備さている。一部 武蔵野線のトンネルから直接通信ケーブルが道路に立ち上がっている人孔が確認できる。これは武蔵野線の北府中先に日銀のデータセンタ、KDDI、あおぞら銀行、三井住友トラストシステム、ソフトバンク等のデータセンター群が集まっていることと関係している。また埼京線 北戸田には日銀の現金を扱う分室がある。
さて JR東日本の自営送電網(首都圏・茨城県・栃木県・群馬県・埼玉県・千葉県・神奈川県・山梨県に限る)で、このような自営送電線先の盲腸線の変電所がどのくらいあるか調べてみた。
1. 常磐線 柏変電所(北小金井変電所から2回線受電)
2. 高崎線 熊谷変電所(篭(籠)原変電所から1回線受電)
3. 東北本線 東大宮変電所(大宮変電所から1回線受電)黒磯、西那須野(矢板変電所から受電)
4. 中央線 日野変電所(自営化済)(立川変電所から2回線)この場合、日野変電所から八王子変電所まで2回線管路を延長すれば盲腸線は回避。同時に武蔵境ー八王子変電所間の架空送電線を撤去できる。笹子、勝沼、山梨市、酒折変電所
国分寺変電所が66㎸化され22㎸は国分寺配電所専用回線となるとの情報もある。
5. 横浜線 橋本変電所(自営化済)、町田変電所(自営化済)この場合、橋本変電所ー町田変電所間を2回線管路を延長すれば盲腸線は回避。
6. 総武線 船橋変電所(但し西船橋変電所まで)
7. 東海道本線 保土ヶ谷、辻堂、大磯、小田原、根府川、湯河原、来宮各変電所
8. 横須賀線 逗子、田浦変電所
9. 京葉線 鍜治橋、越中島
残りの変電所は、TEPCO受電。 これら盲腸送電線先変電所を全部改修することは、近くにTEPCO送電線が走っている場所から末端変電所に予備電源契約を結んで引っ張ってくればよいのだが、あらたな送電鉄塔を建植する必要もあり、予備電源契約費用の問題もあり中々進まないであろう。