銚子電鉄 笠上黒生変電所の設備交換が2021年に行われたが、遠方なので見に行ってな
かった。都内から銚子は遠い。
760. 銚子電気鉄道(銚子電鉄) 笠上黒生変電所 2018年3月の記事
銚子電鉄 2021年度の安全報告書 内容には旧変電所内の変圧器、遠方監視制御盤の画像有
変電所の旧変成設備(経産省・鉄道統計 平成29年度資料から)シリコン整流器 300kW 600V 500A供給 三相ブリッジ接続
整流用変圧器 交流側 340KVA 6,600V×√3×約30A
直流側 420V×√3×約467A 三相ブリッジ整流で420×1.35=567V
変電所の新変成設備(現調)
シリコン整流器 500kW 600V 833A定格
整流用変圧器 交流側 540㎸A 6,600V×√3×47.2A 二重三相ブリッジ整流回路
直流側 表示558(279×2)kVA≒((表示472V×340A)×√3)×2=556KVA
電圧から見ると並列接続(三相二重ブリッジ並列接続)
整流後472V×1.35(三相ブリッジ整流時係数)=637V 680A
シリコン整流器の定格だと833A流せるが整流用変圧器側から見た電流は約680Aしか流せない。これは変圧器容量の関係 変圧器の容量を例えば640KVAまで上げれば約780A流せる。
これで計算すると680A×637V=433kWと以前467A×567V=265kwと比較して約168kW(1.7倍に増えている。
通常 整流用変圧器容量が整流器容量より大きい(約1.1倍・経産省・鉄道統計 平成29年度資料からn=131)が、今回の変成設備更新では0.93倍と小さくなっている。旧変成設備では1.13倍あった。
整流器の定格はD種なので150% 2時間は流せる。また整流用変圧器の定格もD種なので150% 2時間は流せる。但しデマンド値を越えると電気料金が高くなる。
また高圧電力は500kWを境に電気基本料金が替わるので、銚子電鉄では500kW未満で契約している可能性がある。交流側540㎸A で計算すると540×0.9=486kW(力率0.9)で計算で500kW以下になる。
100kW以上500kW未満の需要設備の場合、「専任許可」が認められるため、電気主任技術者免状がなくても第一種電気工事士等で許可主任技術者として従事できる。架線電圧も直流600Vのため、電気工事も第一種電気工事士や認定電気工事従事者で直流側の大体の工事もできる。
参考
n=131中 整流用変圧器容量が整流器容量より小さい鉄道会社は、北越急行、えちごトキめき鉄道、上田電鉄、しなの鉄道、四日市あすなろ鉄道が該当していた。
銚子電鉄 笠上黒生変電変電所
銚子駅まで2.7㎞、外川駅まで4.7㎞地点に設備されている。中間地点ではない。
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変電所自体は新しくなってない。内部機器の更新と屋外変成設備の新設が行われた。 変成設備が屋外設備になったが、直流高速度遮断器、断路器等の収容は、現状の建屋を流用 |
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この看板の通り変電所は稼働している |
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かつて受電していた電柱6,600V需要家供給配電線 |
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かつて受電していたブチルゴム製送電ケーブル、右脇に小さくコルゲート管が見えるがこれに今まで受電していたCVTケーブルが収容されていた
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変成設備交換前 電柱の根本には、かつて使われていたケーブルが残っている 右脇にコルゲート管が見えるが、これに今まで受電していたCVTケーブルが収容されていた
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新しい電柱を建植 ここからはCVTケーブルを引き回して新しい変成設備に繋がる |
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気中開閉器 300A VT=電圧計、LA=避雷器内蔵 |
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高圧気中負荷開閉器銘板
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方向性SOG制御装置 受電盤まで制御ケーブルが伸びる |
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中央奥の高圧気中負荷開閉器からのCVT、制御ケーブルが受電盤(右)まで伸びる |
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高圧受電盤までCVTケーブル、制御ケーブルは伸びる |
銚子駅 停車中の後部運転室 電圧計の指示値変化
前項で書いてある変電所送り出し電圧と電流は、8:36時点 各一編成が銚子と外川に停止中 時刻表より推定(二編成分の補機運転状態)のデータを使用
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後部車両 運転席の電圧計約630V 停車時補機運転中 銚子駅と外川駅に停車中 8時11分時点 笠上黒生変電所から銚子駅まで2.7㎞ トロリ線抵抗値(溝付硬銅トロリ線110㎟を使用と仮定)抵抗値0.1592Ω/km 送り出し電圧が640Vで末端電圧630Vとして10Vの電圧低下とすると末端で停車時一編成約23A流れていることに成る。約10V=約0.43Ω(0.1592×2.7)×約23A 23A×630V=15kW 消費
実際は変電所から4.7㎞先の外川にも一編成が停車中 架線抵抗は0.75Ω(4.7×0.1592) 変電所送り出し電流約44Aなので44-23=21Aとして計算すると外川の電圧低下は0.75×17=約13Vとなる。末端電圧627Vとなる。(こちらは計算上)まあほとんど変わりない。 |
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後部車両 運転席の電圧計 起動時490V 銚子8:13遅初 本当は8:10に同時 外川8:10発 だったが銚子駅で約3分遅れて発車。停車時より140V低下 変電所にとっては過酷な条件。 笠上黒生駅でタブレット交換 630Vから490Vに低下。約140V電圧降下=約0.42Ω(0.1592×2.7)×約333A 333A×490V=163kW力行時消費 一編成 西海鹿島駅から笠上黒生駅(400m)へ発車時点では264kW消費しているので遅発でも合計427kW以上の の負荷が変電所には掛かっているはず。末端架線電圧が490Vとすると427kW=490V×871Aが変電所から流れている。但し5分未満の時間帯。
| メーターの最大値(赤マーク)は1,100A 整流用変圧器定格680A×150%(D種)2時間で1,020Aが限界。871Aだとメーター中央値付近を示すのでメータの目盛り運用には適っている。 |
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奥 銚子電鉄線区 総武本線とは線路で繋がっている 右 総武本線 架線終端標識 1,500V加圧 左 銚子電鉄線 直吊架線 600V加圧 |
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銚子電鉄との責任分界点には、インピーダンスボンドが置かれ中性点が銚子電鉄側に繋がっている。枕木上の木片は責任分界点を示すものと思われる。 |
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枕木上の木片があったと思われる 木片の四隅を釘で止めていた跡がある インピーダンスボンド中性点は銚子電鉄では両方の線路に繋がっている。 |
旧変成設備より電圧、電流ともに1.7倍に強化されたが、末端(銚子・外川)同時発車で末端電圧は500Vを割り込む。ここは、やはり最低でも き電線125㎟1本を平行に引いた方が良いと思う。
ちなみに末端銚子駅力行時の場合に き電線125㎟(0.143Ω/km)1条引いた場合の電圧降下は、トロリ線1本の時の電圧降下 630Vから490Vに低下。約140V電圧降下0.43Ω(0.1592×2.7)×約333A 326A×490V=163kW力行時消費
トロリ線抵抗値0.43Ω(0.1592×2.7)とき電線抵抗値0.39Ω(0.143×2.7)の並列接続で合成抵抗は0.2Ω。326A流れるとして電圧降下は0.2Ω×326A≒65V 630Vから65Vの低下で565Vを維持できるはず。
豪勢にき電線325㎟0.15Ω(0.056×2.7)「JR東日本では325㎟を2条一括でき電線を形成」
トロリ線抵抗値0.43Ωとき電線抵抗値0.15Ωの並列接続で合成抵抗は0.11Ω。326A流れるとして電圧降下は0.11Ω×326A≒36V 630Vから36Vの低下で594Vを維持できるはず。