2025年1月18日

1415. 東急電鉄 用賀開閉所 田園都市線 上下線別き電から上下一括き電へ

  現在 田園都市線は防災上の理由から地下部は上下方面別き電(一部上下方面別Tき電)地上部は上下一括き電(一部Tき電)を採る。

 以前二子玉川駅に開閉所が有った際は地上部も上下方面別き電を採っていた。(2001年以前)但し田園都市線は確認できた情報では2005年までは高津変電所までが上下線別き電だった。

 新玉川線のき電系統図には大井町線にエアーセクションが有るが現在はセクションインシュレーターでき電分離されている。

 新玉川線時代には用賀開閉所は存在しなくて用賀7号架線柱部分に断路器があるのみだった。またエアーセクションは用賀6~7号の架線柱に設置されていた。

新玉川線と呼ばれていたころの二子玉川開閉所
このころは上下方面別き電が全線で行われていた

 2004年以降、東急電鉄では地上部では積極的に上下一括き電を取り入れるようになっている。2009年以降二子玉川駅に乗り入れている田園都市線も上下一括き電を行なうようになったため用賀開閉所及び二子玉川第二変電所が設けられた。

 開閉所があった二子玉川駅直下に二子玉川第二変電所が新設されたため複雑なき電系統となっている。そして大井町線との接続もあり近傍に大井町線にき電している二子玉川第一変電所の設置されており、き電系統の詳細はブラックボックス化されて知ることはできない。

 現在線形が改良され現在の二子玉川駅に配線は大井町線が中線に来る同一方向の対面乗り換えの構成。

 同様に上下一括き電から上下方面別き電を行なっている変電所が東横線にあり、それを参考にして推定で き電系統を考えてみたい。

この図を左右反転したものが用賀開閉所と二子玉川第二変電所のき電系統のヒントとなる
この図では横浜方が上下線別き電、東白楽方が上下一括き電となっている
反町電路機器室で東白楽方が上下一括き電となっている


用賀開閉所

 用賀開閉所の銘板は無い。しかし引き込まれているき電ケーブルの識別ラベルには用賀開閉所の文字がある。

用賀開閉所がある証跡 引き込まれているケーブルラベル

新桜町変電所から2.7㎞、二子玉川第二変電所から500m 場所は合ってる。

どこにも用賀開閉所の銘板は無い

周辺の手摺にも銘板は無い
こちら側からのダクト接続は無い

用賀開閉所の裏側 ダクトでケーブルが引き込まれている
ケーブルに黄色のラベルが貼付されている

拡大すると田園調布線
「き電ケーブル 用賀開閉所D2~用賀8号柱 上りデッド」と記載
この引き込まれている架線柱が用賀8号柱で上りデッドセクションに繋がている

引き込まれているケーブルを辿る

坑門から8番目の架線柱
         左 建屋にケーブルが引き込まれている
また架線柱の標識からデッドセクションに入ることが伺える
(右側の架線はデッドセクション内)


坑門から8番目の架線柱
         右 2段の鉄構上段 左下り起点、右上り起点
下段 左下りデッド、右上りデッド
左鉄構 上下一括
鉄構に固定されている き電線の名称が記載されている
雷対策で大きな放電電流の酸化亜鉛型避雷器が開閉所内機器の保護のため設置されている

坑門から8番目の架線柱
         左鉄構の上下一括からT分岐
き電線分岐装置がごじゃごじゃしているが無視
ここから左がエアーセクション部

横から見る 6回線のき電線が引き下ろされている

坑門から8番目の架線柱
         2段鉄構の上段 上り起点からT分岐で2回線、
下段 上りデッドからT分岐で2回線が引き込まれている。
右鉄構
上下一括からT分岐で2回線が引き込まれている


坑門から8番目の架線柱
2009年当時 用賀開閉所ができる前の同部分 
 断路器2台とき電線が伸びているが上下二段のき電線架台と左の上下一括き電線にはつながっていない。これから用賀開閉所ができる段階。これから繋げるのだろう。
              Google Street Viewから


2009年当時 左の断路器の電流容量が大きい
このき電線がどこに伸びているかは不明
Google Street Viewから


このことから(実は玉川第二変電所と密接にかかわっている)
上り線起点2回線は、用賀開閉所と新桜町変電所間の上り並列き電のき電線
下り線起点2回線は、二子玉川第二変電所と桜新町変電所間の下り並列き電(用賀開閉所通過)
上下一括2回線は、二子玉川第二変電所から伸びている高津変電所方のき電線
上りデッドセクション2回線は、上下一括き電と上方面別き電の境のデッドセクションのどちらかに繋がっている。(反町変電所の例では上下一括き電に繋がる)
下りデッドセクション2回線は用賀開閉所通過

 この用賀開閉所では上り線のデッドセクションに供給するき電元を切替える役割と上り新桜町変電所と玉川第二変電所とのき電区分でがあることが判る。

この内容は、さらに先のき電線を見なければ判らない。以下がその理由

用賀13号柱 
2024年 2段のき電線の先の部分

上り起点は、ここで終わり(用賀開閉所に引き込まれているだけ・引留め)
下り起点は、6回線一組で2分割(3回線一組×2)二子玉川第二変電所に引き込まれる。
なぜ6回線一組で2分割(3回線一組×2)なのか?二子玉川駅まで25‰の下り勾配なので回生電力融通のためか?
上りデットは、ここで終わり(引留め)
下りデッドは3回線一組で二子玉川第二変電所に引き込まれる

用賀13号柱 別角度

 ここで解せないのは上下一括き電線からT分岐して二子玉川第二変電所に引き込まれている回線があることである。二子玉川第二変電所の項でも駅構内でT分岐しているので、なぜ同じ上下一括き電線からT分岐しているかである。

引込ケーブルの状況 用賀13号柱 別角度拡大
上下一括は左3本1組
下り起点は6回線が3回線一組で右3回線と左3回線一組の裏へ
一段下の下りデッドは3回線一組右3回線一組の裏へ

ケーブルのラベル左とその後ろ

ケーブルのラベル右とその後ろ
表側 6回線
右 下り起点のケーブルは、分離用断路器LS-F3-2~用賀13号柱と記載 3回線一組
左 上下一括き電からT分岐しているケーブルは、分離用断路器LS-F1-1~用賀13号柱と
  記載 3回線一組
裏側 6回線
右 分離用断路器LS-D1~用賀13号柱と記載(下りデッドはD1)3回線一組
左 下り起点ケーブルは、分離用断路器LS-F2-1~用賀13号柱と記載 3回線一組 

 この用賀13号柱で下り起点き電線は3回線一組×2に分離されて二子玉川第二変電所に引き込まれている。

参考
2009年 用賀開閉所がなかったころ このころは上下線別き電が高津変電所まで
上下起点、上下デッドとも二子玉川開閉所に引き込まれていた
2024年との違い 上り起点、上りデッドにケーブルがつながっている
どのケーブルも3回線一組で二子玉川開閉所引き込まれている
Google Street Viewから


 新玉川線時代の用賀開閉所は存在して居なく、断路器が2組あり桜新町変電所ー高津変電所間のき電区分と奥沢及びもしくは高津変電所への延長き電(二子玉川開閉所経由)のために設けられていた。


田園都市線(新玉川線)の坑門から用賀開閉所までの間を辿る

坑門から数えて2番目の架線柱         
 奥田園都市線(新玉川線)用賀坑門
デッドセクションの開始点 上下線は逆走運転にも対応
き電線はケーブル化されて右トラフに収容
奥 上下線別き電
両脇の架線柱にき電吊架線325㎟の銅撚線がテンションバランサで引き止められている


坑門から数えて1番目の架線柱
           トラフから引き出された上下線別き電線がき電吊架線につながる


き電線500㎟と325㎟の銅撚線のコネクタ部

新玉川線時代に開発された複合電車線
吊架線325㎟銅撚線
補助吊架線200㎟銅撚線
トロリ線


坑門から数えて3番目の架線柱
左に上下線別き電線が引き止められているケーブル化されて坑門へ
一部分岐して複合電車線の補助吊架線につながる

坑門から数えて3番目の架線柱  
左架線柱 上りデッドのき電線引留め
エアーセクション部の上りデッドセクションの架線につながる


別角度 坑門から数えて3番目の架線柱 

電車線区分標はデッドセクションが有ることの表示
 右架線柱のき電線は上下線別き電線(上り下り始点と書かれているき電線)
左架線柱 上りデッドのき電線引留め
エアーセクション部の上りデッドセクションの架線につながる

坑門から4番目の架線柱
下りデッドのき電線が右架線柱に引き止められている
上下線別き電線(上り下り始点と書かれているき電線)が中央に寄って来る
左架線柱 上りデッドのき電線も同様に中央に寄って来る
別角度
下りデッドのき電線が右架線柱に引き止められている

坑門から5番目の架線柱
デッドセクション部 電車長+アルファの長さ
上り下り起点のき電線が上段、上り下りデッドのき電線が下段の2段のき電線架台
下りデッドセクション部へ下りデッドのき電線分岐装置で繋がる
黄色二重線に赤丸はデッドセクション部の標識

坑門から6番目の架線柱
デッドセクション部 電車長+アルファの長さ
上り下り起点のき電線が上段、上り下りデッドのき電線が下段の2段のき電線架台
黄色二重線に赤丸はデッドセクション部の標識

坑門から7番目の架線柱 架線柱に用賀7の表示
デッドセクション部 電車長+アルファの長さ
上り下り起点のき電線が上段、上り下りデッドのき電線が下段の2段のき電線架台と上下一括のき電線が引き止められている。上下一括のき電線はタイボンド。黄色二重線に赤丸はデッドセクション部の標識

用賀7号の架線柱は断路器が設置できるように2本立てである。
 
 ここからの上下一括のき電線は以前は上下線別き電で二子玉川開閉所に引き込まれていたのだろう。昔の上下線別き電線の流用と思える。


坑門から8番目の架線柱

左 用賀開閉所にケーブルが引き込まれている
また架線柱の標識からデッドセクションに入ることが伺える
上下線の電車線区分標に「入」の表示 エアーセクションに入る
上りデッドセクション部へ上りデッドのき電線分岐装置で繋がる
下りデッドセクション部へ下りデッドのき電線分岐装置で繋がる
上下一括き電からのき電分岐装置が上一括き電の上トロリ線につながる
この部分非常に見にくい(右側の架線はデッドセクション内)

用賀開閉所の反対側から見た部分
上り線のデッドセクションに繋がるき電線と一括き電線につながるき電線が交差している

赤が交差部

 緑が上りデッドセクショントロリ線へのき電分岐装置
下りデッドセクショントロリ線へのき電分岐装置は判りやすい
 オレンジがエアーセクション部に向かって下がっていく上下一括き電トロリ線へのき電分岐装置。右側にエアーセクションがある。

平行に張られたエアーセクション部 屋外型複合電車線

用賀開閉所の駅寄り デッドセクションを抜けた先にある上下一括と書かれているき電線
均圧線で結ばれている。田園都市線の上下一括き電部分
ここから高津変電所先 反町変電所まで上下一括き電
奥に大井町線のアプローチ線が見える


 架線柱に取り付けられている電車線区分標、東急電鉄独自の標識からこの72Dデッドセクションは逆方向運転が可能なことが伺える。用賀駅には両渡り線があり、折り返し運転可能な構造となっている。
 Wikipediaの用賀駅の項目では長津田駅からの折り返しが用賀駅で行われたり、半蔵門線不通の場合の二子玉川行の折り返しに使われいたとの記載もある。また非常用に運用されるとの記載もある。
 つまりこの用賀開閉所の区間にあるデッドセクションは、一括き電区間からのき電が行える状態を維持できるように制御されていることになる。


用賀開閉所付近のき電線 系統簡略図 用賀開閉所内の配線は推定
二子玉川第二変電所付近のき電線系統図は次の記事としてUpする


 用賀開閉所の上下方面別き電線の上り起点と上下一括き電の二子玉川第二変電所の直流高速度遮断器がOFFの理由は、二子玉川第二変電所の存在と方面別き電と上下一括き電の並列き電を防災上避けるためにOFFと推定した。つまり桜新町変電所と二子玉川第二変電所のき電突合せで常時並列き電は行っていない。
 

参考資料
配線略図については以下の資料を引用
出典(「配線略図.net」・アドレス「https://www.haisenryakuzu.net/」)



































































正月企画 JR、私鉄 自営送電線 その他送電線(鉄道系)系統図 富士川以北を主に経路をGoogle My Map(New)に記載

1409. 正月企画 JR、私鉄 自営送電線 その他送電線(鉄道系)系統図 富士川以北を主に経路をGoogle My Map(New)に記載

新年 明けましておめでとうございます 今後も ゆっくり更新していきますので、よろしくお願いいたします I`d like to wish you a better New Year Than 2025 and stay safe. We will continue...

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