おさらい
動力式検電接地装置は、作業員が夜間停電時に作業するもので通常は内部にある真空電磁開閉器には電流が流れない。そのため安価に入手できる真空電磁開閉器を利用した構成になっている。
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| 動力式検電接地装置内に設置されている富士電機製 真空電磁開閉器 |
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D&C14版R_盤内高圧機器_R05-高圧真空電磁接触器 カタログダウンロード画面
真空電磁接触器(VMC) メインのページ
この装置画像と田町駅に設置されていた検電接地装置内部の白い円筒3本の画像が一致
白いチューブ状の真空バルブ内に接点がありバルブ内のベローズが上下動して接点の入り切りを真空中で行う。
VCB真空遮断器(6.6㎸)の場合接点間隔は10mm VMC(真空電磁接触器)の場合4~8mm
真空バルブが3本あるので上下線で2本使える(上下線同時に操作可能)
これによると高圧真空電磁接触器は3相一括で連結ロッドが動いて真空バルブ内のベローズの先に着いている接点を高真空中で入り切りする。但し接点間で時差がある3~5mS
動力式検電接地装置は、直流大電流を入り切りするわけではなく単にき電線とレールを無負荷(停電時)に繋ぐ目的で使われている。だから動力式で真空バルブ内の接点を動力で上下動させて入り切りを行なう。そのため交流用(耐圧6.6kV)でも直流1500Vを無負荷中に「ON:接地」にするので問題はない。また架線が加圧中(1500V)なら真空バルブは「OFF」の状態でも十分電圧に耐えられる。
① 山手線・京浜東北線 送電後に停電発生・運転見合わせ
② 山手線・京浜東北線 検電接地装置を「開放」操作
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| 山手線側の動力式検電接地装置の内部 焼損部位は見られない 操作部(保護装置部)も綺麗な状態 日経クロステック記事から引用(JR東日本提供) |
① 山手線・京浜東北線 送電後に停電発生・運転見合わせ
この時点で山手線側の真空電磁開閉器の接点は「閉」状態で電流が田町、新橋両変電所から流れこんでいた。急峻な電流変化(Δdi/dt)で50F故障選択装置が両変電所ともに働くわけだが瞬時ではない。各変電所までのインダクタンスが計算に効いてくる。
以下の条件を整理 Claude Sonet4.6に計算させてみた。
6000kW S種 シリコン整流器2台が2.7㎞隔て並列き電を325㎟銅き電線2条×2で接続
片方の変電所から700m地点で325㎟ケーブル2条×2で真空電磁開閉器に繋がり定位は開閉器は開です。これが2組あります。(動力式検電接地装置の位置)
変電所は、停電させて真空電磁開閉器を「閉」にしてあります。真空電磁開閉器の接点許容電流は4kAです。帰線には各変電所に4mHの直列リアクトルが入っており、変電所の直流高速度遮断器の整定値を12,000Aとします。 インピーダンスボンドの抵抗値は無視します。
電磁開閉器を「開」にしないで直流高速度遮断器を投入しました。直流高速度遮断器が「開」になる時間とその間に電磁開閉器に流れる短絡電流を計算して下さい。
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【共通定数】
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V = 1500 [V]
ρ = 0.01724 [Ω·mm²/m]
A_feed = 325 [mm²]
n_feed = 2 [条(並列)上下線各々]
R_rail_unit = 0.015 [Ω/km・1条] 60㎏レール
n_rail = 2 [条(並列)]
Z_pct = 0.06 [%Z = 6%]
In = 4,000 [A](= 6,000,000 ÷ 1,500)
L_reactor = 4.0 [mH]
L_feed_unit = 1.0 [mH/km]
L_rail_unit = 1.0 [mH/km]
L_transformer = 0.06 [mH]
I_HSCB = 12,000 [A](整定値)
VMC定格 = 4,000 [A] × 2台(上線・下線)
VMC並列台数 = 2 [台]
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【変電所A側回路定数(距離700m)】田町変電所
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● き電線抵抗(上線・下線各々325mm²×2条並列・700m)
R_feedA = (ρ × 700) / (A_feed × n_feed)
= (0.01724 × 700) / (325 × 2)
= 12.068 / 650
= 0.01856 [Ω]
● 帰線抵抗(2条並列・700m)
R_railA = (R_rail_unit × 0.7) / n_rail
= (0.015 × 0.7) / 2
= 0.00525 [Ω]
● 整流器内部抵抗
R_intA = Z_pct × (V / In)
= 0.06 × (1500 / 4000)
= 0.02250 [Ω]
● A側合計抵抗
R_A = R_feedA + R_railA + R_intA
= 0.01856 + 0.00525 + 0.02250
= 0.04631 [Ω]
● き電線インダクタンス(上線・下線各々2条並列・700m)
L_feedA = (L_feed_unit × 0.7) / n_feed
= (1.0 × 0.7) / 2
= 0.35 [mH]
● 帰線インダクタンス(2条並列・700m)
L_railA = (L_rail_unit × 0.7) / n_rail
= (1.0 × 0.7) / 2
= 0.35 [mH]
● A側合計インダクタンス
L_A = L_feedA + L_railA + L_reactor + L_transformer
= 0.35 + 0.35 + 4.0 + 0.06
= 4.76 [mH]
● A側定常短絡電流
I_inf_A = V / R_A
= 1500 / 0.04631
= 32,392 [A] ≒ 32,400 [A]
● A側時定数
τ_A = L_A / R_A
= 0.00476 / 0.04631
= 0.10280 [s] = 102.8 [ms]
● A側電流式(上線・下線合計)
i_A(t) = 32,400 × (1 - exp(-t / 102.8))
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【変電所B側回路定数(距離2,000m)】新橋変電所
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● き電線抵抗(上線・下線各々325mm²×2条並列・2000m)
R_feedB = (ρ × 2000) / (A_feed × n_feed)
= (0.01724 × 2000) / (325 × 2)
= 34.48 / 650
= 0.05304 [Ω]
● 帰線抵抗(2条並列・2000m)
R_railB = (R_rail_unit × 2.0) / n_rail
= (0.015 × 2.0) / 2
= 0.01500 [Ω]
● 整流器内部抵抗
R_intB = Z_pct × (V / In)
= 0.06 × (1500 / 4000)
= 0.02250 [Ω]
● B側合計抵抗
R_B = R_feedB + R_railB + R_intB
= 0.05304 + 0.01500 + 0.02250
= 0.09054 [Ω]
● き電線インダクタンス(上線・下線各々2条並列・2000m)
L_feedB = (L_feed_unit × 2.0) / n_feed
= (1.0 × 2.0) / 2
= 1.00 [mH]
● 帰線インダクタンス(2条並列・2000m)
L_railB = (L_rail_unit × 2.0) / n_rail
= (1.0 × 2.0) / 2
= 1.00 [mH]
● B側合計インダクタンス
L_B = L_feedB + L_railB + L_reactor + L_transformer
= 1.00 + 1.00 + 4.0 + 0.06
= 6.06 [mH]
● B側定常短絡電流
I_inf_B = V / R_B
= 1500 / 0.09054
= 16,569 [A] ≒ 16,570 [A]
● B側時定数
τ_B = L_B / R_B
= 0.00606 / 0.09054
= 0.06693 [s] = 66.9 [ms]
● B側電流式(上線・下線合計)
i_B(t) = 16,570 × (1 - exp(-t / 66.9))
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【短絡点合計電流・各VMC電流】
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● 短絡点合計電流(A・B両変電所から流入)
i_total(t) = i_A(t) + i_B(t)
= 32,400×(1-exp(-t/102.8)) + 16,570×(1-exp(-t/66.9))
● 各VMC電流(上線・下線2台で均等分流)
i_VMC(t) = i_total(t) / 2
= [32,400×(1-exp(-t/102.8)) + 16,570×(1-exp(-t/66.9))] / 2
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【VMC定格超過時刻(各VMC=4,000A → 合計=8,000A)】
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i_total(t) = 8,000 [A] を数値解で求める
t = 13ms : i_A=3,844 i_B=2,797 合計=6,641 各VMC=3,321A
t = 15ms : i_A=4,400 i_B=3,195 合計=7,595 各VMC=3,798A
t = 17ms : i_A=4,944 i_B=3,580 合計=8,524 各VMC=4,262A
t = 16ms : i_A=4,671 i_B=3,388 合計=8,059 各VMC=4,030A
補間計算:
15ms→16ms で合計が7,595→8,059(差464A)
8,000-7,595 = 405A 不足
t = 15 + (405/464) × 1 = 15 + 0.87 = 15.9 [ms]
● VMC定格超過開始時刻
t_VMC_over = 15.9 [ms] ← 各VMC = 4,000A 超過開始
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【HSCB-A動作時刻(i_A = 12,000A)】田町変電所
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12,000 = 32,400 × (1 - exp(-t / 102.8))
exp(-t / 102.8) = 1 - (12,000 / 32,400) = 0.6296
t_A = -102.8 × ln(0.6296)
= -102.8 × (-0.4626)
= 47.6 [ms] ← HSCB-A遮断 トリップ指令この後アーク消弧で電流断
● HSCB-A遮断時の各VMC電流
i_A(47.6ms) = 12,000 [A]
i_B(47.6ms) = 16,570 × (1 - exp(-47.6 / 66.9))
= 16,570 × (1 - exp(-0.7115))
= 16,570 × (1 - 0.4909)
= 16,570 × 0.5091
= 8,436 [A]
i_total(47.6ms) = 12,000 + 8,436 = 20,436 [A]
i_VMC(47.6ms) = 20,436 / 2 = 10,218 [A]
= 定格の 10,218/4,000 = 2.55倍
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【HSCB-A遮断後(t > 47.6ms)B側のみ継続】
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● A遮断後の各VMC電流
i_VMC(t) = i_B(t) / 2
= 16,570 × (1 - exp(-t / 66.9)) / 2
= 8,285 × (1 - exp(-t / 66.9))
● HSCB-B動作時刻(i_B = 12,000A)
12,000 = 16,570 × (1 - exp(-t / 66.9))
exp(-t / 66.9) = 1 - (12,000 / 16,570) = 0.2742
t_B = -66.9 × ln(0.2742)
= -66.9 × (-1.2944)
= 86.6 [ms] ← HSCB-B遮断 トリップ指令この後アーク消弧で電流断
● HSCB-B遮断時の各VMC電流
i_VMC(86.6ms) = 12,000 / 2 = 6,000 [A]
= 定格の 6,000/4,000 = 1.5倍
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【VMC定格超過継続時間】
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● HSCB-A遮断まで(フェーズ1)
超過開始:15.9ms
HSCB-A遮断:47.6ms
超過継続:47.6 - 15.9 = 31.7 [ms]
● HSCB-A遮断直後のVMC電流確認
i_VMC(47.6ms直後) = 8,436 / 2 = 4,218 [A]
→ 依然 4,000A 超過継続
● HSCB-B遮断まで(フェーズ2)
超過継続:86.6 - 47.6 = 39.0 [ms]
ただし途中でB側電流が4,000×2=8,000A以下になる時刻を確認
i_B(t) = 8,000 [A] となる時刻:
8,000 = 16,570 × (1 - exp(-t / 66.9))
exp(-t/66.9) = 1 - (8,000/16,570) = 0.5172
t = -66.9 × ln(0.5172) = -66.9 × (-0.6584) = 44.0 [ms]
t = 44.0ms < 47.6ms(HSCB-A遮断前)
→ A遮断後もB側単独で8,000A超のまま継続
各VMC電流が4,000A以下になる時刻(B側のみ・4,000×2=8,000A)
= 44.0ms ← これはHSCB-A遮断前なので
A遮断後(47.6ms以降)B側単独の4,000A超継続を確認:
i_B(47.6ms) = 8,436A > 8,000A ← 超過継続
HSCB-B遮断(86.6ms)まで超過継続 実際は連係して遮断するのでこれよりも早い
● 総VMC定格超過継続時間
= 86.6 - 15.9 = 70.7 [ms]
● 合計∫I²dt
∫I²dt_total = 1,789,385 + 1,132,730
= 2,922,115 [A²s]
● 等価熱電流(86.6ms間)
I_eq = √(∫I²dt / t_total)
= √(2,922,115 / 0.0866)
= √(33,742,437)
= 5,809 [A] ← 定格4,000Aの1.45倍相当
● VMC接点の発熱エネルギー
(接触抵抗 R_contact = 0.1mΩ と仮定)
W_contact = ∫I²dt × R_contact
= 2,922,115 × 0.0001
= 292 [J]
● S種整流器との∫I²dt 照合
S種短時間耐量(3×In=12,000A・1秒):
∫I²dt_S種 = 12,000² × 1.0 = 144,000,000 [A²s]
実際のVMC∫I²dt = 2,922,115 [A²s]
耐量比 = 2,922,115 / 144,000,000 = 2.0% ✅ 整流器は健全
この最初の15.6ms間に既に真空電磁開閉器には約10,000Aが流れているので溶着は確実に発生する。
き電線から分岐したき電ケーブルに10,000Aが流れても短時間なので温度上昇は軽微、但し接触抵抗が1mΩで約600度となりケーブル外被は溶融発火する。
実際は田町駅の直流高速度遮断器が落ちた際に連係操作で周辺の品川、新橋も同時刻で落ちているはず。(47~55msで連動で落ちている)
つまり動力式検電装置は、閉の場合絶対に変電所側の直流高速度遮断器を投入してはいけない仕様であり、なんらかのインターロック回路を追加するべきである。また短絡事故を起こした動力式検電接地装置は、ケーブル本体だけでなく全ての接続端子・端末部を必ず点検・交換する必要がある。
短絡電流による接点溶着(フェイルデインジャラス)を考慮せず、過電流耐量不足を前提とした真空電磁開閉器の選定は、保護協調の観点から著しく妥当性を欠き、フェイルセーフの設計思想に反していると言える。
もう一つの可能性
検電接地装置の切り忘れで直流高速度遮断器が解放動作、再投入を繰り返した際に係員が切り忘れを察知 たまたま再投入時に検電接地装置を操作して直流が印加された状態下で真空電磁開閉器を開にした。
この場合R相S相T相での真空電磁開閉器の真空バルブの開放順の時差が発生 トリップ指令が出た場合R相が最初に開極、S相は使用していない。次にT相が開極で最初にR相に過大電流が流れ接点溶着、その後直流高速度遮断器開放でT相は接点が溶着しないで済んだ。
京浜東北線側が発煙発火した原因は以下だと推定する。
真空劣化(京浜東北線側): 同様のストレス、あるいは線路脇の絶え間ない振動により、京浜東北線側の真空バルブには微細なリーク(ベローズの損傷等)が発生していた可能性がある。これも現に700台近く出荷しているのに真空バルブのリークが都合よく同時に起こるかと言う問題がある。
同様な事故が白岡駅で発生したとのことであるが、この場合動力式検電接地装置は溶着もせず遮断も確実に行われてる。変電所近傍なので遠方の久喜、蓮田変電所は無視して計算。
白岡駅には白岡変電所が併設されているが直流高速度遮断器の整定値が9,000Aと仮定すると4000,6000kWシリコン整流器での直流高速度遮断器切断時間約26msで真空電磁開閉器が23ms前後で切断許容量を超えるが3msの差なので溶着を免れたようだ。直列リアクトル4mHで計算、2mHでも溶着はしない。
また変電所の健全性確認作業で時間を取られていたが、これは一時的にシリコン整流器のS種もしくはD種定格を規定時間以上越えた電流が流れたことによる。
元になったブログ
AI利用上の注意 条件の与え方で結果が異なる。
ChatGPT・Gemini リアクトルを共通1個として合成回路計算、A遮断後にリアクトルがなくなると解釈、
A,B変電所とも異なるRL回路であるとして計算させる。そして独立したRL回路として重ね合わせの理を適用させる。







