鷺沼変電所
元の名称は市ヶ尾線 最初に東急市が尾変電所へ送電するため出来た送電線を利用し
た変電所
田園都市線の市が尾変電所建設時近くに東電の送電線が無いために溝の口付近の送
電線(向ヶ丘線と言われている)から分岐して鉄道線路上約7.5㎞に渡り主にガントリ
ー鉄塔で66kV2回線を市が尾変電所に引き込んでいた。
将来的には隣のTEPCO変電所への供給。また輸送力増強時の高津ー市ヶ尾間に新設
を予定している東急電鉄の変電所にも供給するような構成をしていた。その後、この
間には市ヶ尾線を利用して鷲沼変電所(1974)と宮崎台変電所ができた。しかしガン
トリー鉄塔は、TEPCO、東急側での保守点検に手間が掛かるため拠点変電所以外の
TEPCO市ヶ尾線は分断されており撤去される運命にある。
現に東急電鉄市が尾変電所は、TEPCO市ヶ尾線から受電を受けず地中送電線で受電
を受けている。(東急は市が尾表示、TEPCOは市ヶ尾表示)
この鷺沼変電所の受電送電線も市ヶ尾線ではなく東急鷺沼線、鷺沼ストア線と名称
が替わる。
き電:シリコン整流器 4,500kW×2 D種定格 72D方式
予備、常用の2台体制と言われているが断路器キュービクルの表示を見ると2台動いて
いるように思える。
東急鷺沼線No.25 66kV 2回線受電 奥が電源側となる。以前は手前が若番なので手前が電源側 手前側(No.24)は途中で鷺沼ストア線となりNo.21末端で終了 |
東急鷺沼線No.25(元市ヶ尾線No.24) |
奥の鉄塔から名前が替わる |
シリコン整流器 沸騰冷却式 D種定格 その後ろ整流用変圧器 1988年製なのでそろそろ交換の時期 シリコン整流器は3台目が設備できるようになっている |
1988年製 36年前 |
ひょっとして変成設備交換準備 |
No.1SR~89N1と書いてあるのでNo.1 シリコン整流器の負極側から89N1の負極母線断路器までの仮設ケーブル CV325㎟ つまり 帰線用 |
高配用変圧器 Sg Trと表示 |
T形終端接続部 66kV側 |
所内変圧器は外に出されている。 所内で工事中 |
き電線は変電所から引き出されキュービクル内の断路器を経由 トロリ線にき電する |
ケーブルが綺麗に整線されてキュービクルに入る |
キュービクルは7盤
変電所内での事故時 断路器が切れなくなる恐れがあるので断路器部を変電所外(キュービクル)に出している。JR東日本でも新潟変電所火災事故以来積極的に分離方式を設置して
いる。
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宮崎台変電所と同じ構成 DS=断路器 ZLA=酸化亜鉛型避雷器 由緒正しき72D方式のπき電 上下一括き電方式 宮崎台方と市ヶ尾方にき電線が出ている SS 54F-1 SS 72D-1と記載されているのでSS=変電所の引出元が54F、72Dとなる |
4000Vは4000Aの記載ミス |
キュービクルからのき電線とトロリ線との接続の関係 |
SS=変電所の引出元が54F、72Dとなる 資料の図を引用改変 89B-2はVCT取り換え時のバイパス回路 |
この単結線図の先が前述のキュービクルに貼付されている単結線図に繋がり、キュービクルから下がってき電線に繋がる。
54PFの直流高速度遮断器1台故障の場合は、89FTの断路器を「入」として一括Tき電として運用して故障した54PFと54FTを差し替えて送電容量を確保することが可能となるそうだ。
東急電鉄としては保守に手間が掛かりかつ高価な直流高速度遮断器を削減し更に大容量・高突進率対応のHSCB(直流高速度遮断器)・HSVCB(直流高速度真空遮断器)も削減する方向が方針のようだ。そのためTき電の変電所(二子玉川第二変電所・高津変電所)が増えている。
この箱型の機器は短絡接地装置Ⅱ型 この装置から降りているのは接地線でここではインピーダンスボンドの中性点に繋がる |
工事時にき電線、トロリ線を確実に接地して感電事故防止をする役目 操作すると鷺沼SS~市が尾SS、宮崎台SS~鷺沼SSが上下線とも接地される |
左2本 D1デッドセクション 右3本 宮崎台方F1 |
左3本 市が尾方F2 右 D2デッドセクション |
変電所からキュービクルに入るき電線とキュービクルからトロリ線の繋がるき電線 |
インピーダンスボンドの中性点に繋がる帰線 インピーダンスボンドは東急では「D」で表す |
キュービクルからのき電線がトラフに収容 |
き電線立ち上がり 上部 左が宮崎台方 右 市が尾方 各3本一組 架線柱の横2段でデッドセクションD1,D2がTき電中 ちょうどこの位置はデッドセクションの中になる |
横2段の上が下りデッドセクションD1 トロリ線にき電 上部を通過するのは市が尾方き電線 上下一括き電線 |
デッドセクションの終わり 下り方 エアーセクションに入る部分 |
上りデッドセクションD2架線柱に引止。き電線が上りトロリ線にき電
下りデッドセクションD1はまだ通過 |
上記画像の反対側からの画像 上り線デッドセクションに入る位置 |
市ヶ尾線は風前の灯
東急宮崎台線(市ヶ尾線No.4)鉄塔 東急市が尾変電所方は送電線切断 |
市ヶ尾線No.14鉄塔 ジャンパ線無 引止のみ |
横から 市ヶ尾線No.14 ジャンパ線無 |
市ヶ尾線No.15~No.19までは送電線健在 No.20は欠番
66kV 2回線受電引き下ろし TEPCO市ヶ尾変電所方 鷺沼ストア線No.21(市ヶ尾線No.21) |
宮崎台方 鷺沼ストア線No.21(市ヶ尾線No.21) ジャンパ線無 |
鷺沼ストア線No.21(市ヶ尾線No.21) |
鷺沼ストアに66kV 2回線給電 地中送電線 |
事故区間検出装置には市ヶ尾線No.21の表示 |
鷺沼ストア線No.22(市ヶ尾線No.22) 健在
反対側 今まさに鷺沼ストアNo.23に変更するところ Google Street View 2023年 |
鷺沼ストアNo.24 2023年の3月は市ヶ尾線No.24だった Google Street View 2023年で確認 |
反対側はまだ 市ヶ尾線No.24 但しGoogle Street View 2023年3月 |
東急鷺沼線No.25(市ヶ尾線No.25) |
東急鷺沼線No.26鉄塔 電源側引き上げ鉄塔 若番側は、送電線が分断されているので老番側からの送電となる |
66kV YJ プレハブY分岐で2つに分岐 2回線×2に分岐 |
Y分岐 |
架空線部の事故区間検出装置には市ヶ尾線1,2番と表示 |
別角度 |
もう一つの事故区間検出装置 東急プラザ線1,2番と表示 |
地中線の標識 東急鷺沼No.26(鉄)~青葉2Pと表示 |
この東急鷺沼線はどこから送電を受けているのだろう? 青葉とは青葉区?
では2024年の現調した市ヶ尾線No.26鉄塔の先 市ヶ尾線No.34がどうなっているかをGoogle Street Viewで調べたら
東急鷺沼線No.34 ケーブルヘッドはあるがジャンパ線がつながっていない Google Street View 2024年6月 |
市ヶ尾線No.34 ケーブルヘッドはあるがジャンパ線がつながっていない Google Street View 2014年3月 |
少なくとも2014年3月から市ヶ尾線No.34鉄塔の送電線 に市ヶ尾線No.26鉄塔からの地中送電線は繋がっていない。
参考資料(順不同)
斎藤昌訓;東京急行電鉄ー田園都市線 溝の口ー長津田間の電気施設の概要について:電気鉄道Vol.20,No.6,pp.2-4,1966
松原優平;鉄道事業者の変電設備(17):鉄道と電気技術Vol.35,No.2,pp.82-85,2024
木暮隆雄;直流き電回路の現状と今後の課題(19)直流き電回路の電圧降下対策と省エネ:鉄道と電気技術Vol.22,No.3,pp.51-61,2011
金澤克美;特集:東京急行電鉄 電気設備の概要:鉄道ピクトリアル:Vol.57,No.749,pp63-65,2004