2025年1月26日

1422. 東急電鉄 田奈変電所 田園都市線

 田奈変電所

 

受電:東急電鉄 市が尾変電所からの自営送電線22kV 1回線
き電:シリコン整流器S種定格 4,500kW×2 72D方式
上下一括き電だが長津田側はき電線が3本一組となっている。これは長津田工場、車庫があるため及び田奈変電所⇔つきみ野変電所間6.9㎞で田園都市線内で一番き電距離が長くなっているため。

田奈変電所改修は東急電鉄の2023年度の設備投資計画に入っている

2001年7月の落雷事故で全損 仮復旧まで7日間 朝のラッシュ時間引き運転70%(ノッチ抑制も実施)完全復旧まで2002年前半まで時間を必要とした。

 断路器群が変電所内にあったため き電分離が出来ず復旧に時間を要したため、断路器盤を変電所外のキュービクル収容するきっかけとなった。田奈変電所では復旧当時に外部に断路器群を出している。今工事が入っているのでキュービクルを設置するかもしれない。

 この田奈変電所の事故後の復旧時に市が尾変電所と つきみ野変電所9.6㎞間の電圧降下が大きく市が尾変電所と中央林間間を仮に一括き電化した。田奈変電所の復旧工事に合わせて一括き電の本格化を決定して田園都市線で直流高速度遮断器の遮断目盛の増大化と変成設備の電圧変動率の引き下げの検討を行なった。

 さらに長いき電距離の解消と田奈変電所の事故の対応で東急電鉄では、すずかけ台に変電所を設けようとして住民の反対運動でとん挫した歴史がある。

66kV引込の変電所を建設 理由は田奈変電所が落ちた場合の架線電圧低下に対応するため
以下引用
2001年に田園都市線田奈変電所で起こった落雷事故を受けて、変電所の増設が必要と考え、2006年2月に、すずかけ台駅隣接地に変電所を建設することを、社内決定していました。そして2007年2月2日に町田市に建築確認申請を出し、2007年5月2日に許可が下りました。
引用終わり
2007年~2008年で変電所建設撤回
 

半地下3階

改修工事を行なうためのアスベスト調査 変電所の床を斫るようだ


上下線方面別の変電所内と外部断路器の単結線図 逆にしてあるのは現物と対比するため
新玉川線建設誌 車庫編から引用

右が市が尾方 左がつきみ野方 つきみ野方は下り線側き電線が2本になっている。 
断路器が4台外部に出ている。
真ん中にあるのが延長き電用断路器 両脇がデッドセクションの非通常運用時の断路器
デッドセクションの下り方D1は、市が尾方の下りき電からき電
デッドセクションの上り方D2は、つきみ野方のき電上りき電

非通常時運用(D1,D2開放)で断路器投入
デッドセクションの下りD1に繋がる断路器は市が尾方の下りき電からき電
デッドセクションの上りD2に繋がる断路器は市が尾方の上りき電からき電

では実際の断路器はどのようになっているか もうこの時点で上下一括き電化されている
実際の断路器部 上下一括き電後の田奈変電所の外部断路器部
左 つきみ野変電所方 右 市が尾変電所方 
断路器が4台(デッドセクション用2台・延長き電(東急では渡り線と言う)用2台)

き電線をデッドセクションから追って解かり易く色別で区別してみたら、上りデッドセクションから辿ると表示は下り表示T1に繋がっている。同じく下りデッドセクションは上り表示T2に繋がっていた。 表示と現物の接続先が逆になっている。現物の接続先を正しいものとして実単結線図として記載してある。


右2つの断路器部分を拡大
上下線方面別き電の時は
断路器 上部の端子側 左は市が尾方上り 右は市が尾方下り
断路器ブレードがある下部の端子 左はつきみ野方上り 右はつきみ野方下り

現在は上下一括き電のため 
断路器上部端子同士ジャンパ接続、断路器下部端子同士ジャンパ接続 赤の部分ジャンパ線
この断路器を両方投入すると上下一括き電の延長き電(渡りき電)となる。
断路器 上部の端子側 左、右は市が尾方
断路器ブレードがある下部の端子 左、右はつきみ野方
断路器の端子板を延長して多数のき電線が繋がっている。
 方面別き電の時(赤のジャンパ線が無いと仮定)すると左が上り、右が下りになるので表示(田奈変上りき電2,田奈変下りき電1)は方面別き電の時のままと考えるのが妥当。
 
左2つの断路器部分を拡大(非通常時運用)上下一括き電時
デッドセクション非通常時(D1,D2開放)時にこの断路器を投入

表示はT1下りと書いてあるが実際のデッドセクションからき電線を追うと上りT2となる
表示はT2上りと書いてあるが実際のデッドセクションからき電線を追うと下りT1となる
デッドセクションの下り方D1(T1)は、つきみ野方のき電からき電
デッドセクションの上り方D2(T2)は、田奈方のき電き電
となっている。文献上ではデッドセクションは変電所出の時点でつきみ野方(中央林間方)
 今までの鷺沼、市が尾、宮崎台変電所のキュービクルに貼付されている単結線図では下り方からの両デッドセクションき電が普通ちなる。

上下方面別は文献上ではD1,D2ともつきみ野方上下線でき電されている
一括き電は文献上では通常時のD1,D2ともにつきみ野方でき電されている

実際の断路器配線先は文献上と実際は違ってた。


 54PFの直流高速度遮断器1台故障の場合は、89FTの断路器を「入」として一括Tき電として運用して故障した54PFと54FTを差し替えて送電容量を確保することが可能となるそうだ。 
断路器部を多角的に解析 正面
 

断路器部を多角的に解析 反対側から 右にき電線6回路分 左にき電線2回路分

断路器部を多角的に解析 下から見上げる

断路器部を多角的に解析 別角度

断路器部を多角的に解析 左 つきみ野方 右 市が尾方
左に6回線(4回線がつきみ野方、2回線がデッドセクション上下) 右に2回線(上下一括き電)


田奈変電所き電線、高配引込部

断路器部のき電線は一部T分岐して区分開閉器盤に引き込まれている
宮崎台や鷺沼変電所にあったキュービクルの変電所から本線き電、D1,D2のき電用断路器が収容されているものと思われる。

以下が想像図
水色の部分が外に出ている部分
断路器の通電量はブレード数での推定、盤内の単結線図は不明
参考資料のD1,D2ともにつきみ野方で加圧されるが実際はどうか不明


変電所から引き出されたき電線は一端区分開閉器盤に入るものと露出断路器方に分かれる


各変電所で見かけた短絡接地装置Ⅱ型 
田奈変電所を起点に上りは次変電所市が尾まで、下りは、つきみ野がTき電なので中央林間

インピーダンスボンド中性点に繋がる帰線 Dの表示が見える

各ケーブルの敷設年は落雷事故時の復旧年
大急ぎで復旧を行なっている

各ケーブルの敷設年は落雷事故時の復旧年
ケーブルの敷設年から判断すると同時期にこの断路器盤も設備されたと判断できる


田奈駅構内 下り線ホーム下
市が尾変電所からの22kV連絡送電線が収容されているトラフ 「特高注意」の表示

線路わきに埋められている


田奈駅構内
線路脇に埋められているトラフに市が尾変電所からの22kV連絡送電線が収容されている
上の金属ダクトはホームドア用の電源・制御線が収容されている

架線部 長津田側から田奈変電所方へ調査

長津田駅方のデッドセクション終了点 電車線区分標に出の文字
き電線が3本一組でタイボンドされている。き電分岐装置が上下トロリ線にき電
この1本に見えるき電線は2本のケーブルが合わさっている。つまり500㎟ケーブルが6本長津田に向かっている。500㎟硬銅撚り線のCVケーブルの場合約900A流せるので6本で5,400A以下となる。

デッドセクション部の架線は添線で強化されている


長津田駅方のデッドセクション開始点 電車線区分標に入の文字
上部に長津田方き電線3本
左架線柱に上段上り方デッドセクションき電線、下段が下り方デッドセクションき電線

デッドセクション部 黄色と赤丸の表示


デッドセクション部 黄色と赤丸の表示
テンションバランサがあることから市が尾方のデッドセクション終了点が近い
市が尾方のデッドセクション終了点 電車線区分標に出の文字
上部に長津田方き電線3本
左架線柱に上段上り方デッドセクションき電線、下段が下り方デッドセクションき電線


デッドセクションき電線のT分岐部
左架線柱に上段上り方デッドセクションき電線、下段が下り方デッドセクションき電線


デッドセクション部の架線は添線で強化されている


市が尾方のデッドセクション開始点 電車線区分標に入の文字
上部に長津田方き電線3本
左架線柱に上段上り方デッドセクションき電線、下段が下り方デッドセクションき電線


断路器側の架線柱 上部につきみ野方 き電線3本(実際は500㎟ケーブル6本で送電)
下段に デッドセクションき電線 


左に6回線出ていた内 上の1本と2本が繋がってさらにもう1本とタイボンドされる
これが長津田方面の3回線となる
下段2本はデッドセクション上段が上り、下段が下りのデッドセクションへき電


参考資料(順不同)

松原優平;鉄道事業者の変電設備(17):鉄道と電気技術Vol.35,No.2,pp.82-85,2024

木暮隆雄;直流き電回路の現状と今後の課題(19)直流き電回路の電圧降下対策と省エネ:鉄道と電気技術Vol.22,No.3,pp.51-61,2011

金澤克美;特集:東京急行電鉄 電気設備の概要:鉄道ピクトリアル:
Vol.57,No.749,pp63-65,2004

相原茂ら;東急電鉄の電力設備における雷対策の取組み:鉄道と電気技術Vol.20,No.9,pp.30-34,2009

津川進;テーマ技術資料 東京急行の一括き電:鉄道と電気技術Vol.13,No.8,pp.36-39,2002










































正月企画 JR、私鉄 自営送電線 その他送電線(鉄道系)系統図 富士川以北を主に経路をGoogle My Map(New)に記載

1409. 正月企画 JR、私鉄 自営送電線 その他送電線(鉄道系)系統図 富士川以北を主に経路をGoogle My Map(New)に記載

新年 明けましておめでとうございます 今後も ゆっくり更新していきますので、よろしくお願いいたします I`d like to wish you a better New Year Than 2025 and stay safe. We will continue...

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