2017年11月27日

665. JR東日本 峠変電所 BTき電 奥羽本線(山形線)

峠変電所
峠駅との位置関係


峠変電所 東北電力66kV  1回線受電を2回線に分離


グーグルマップで表示名がでない
アプローチ:峠駅 容易 停車する列車の数が少ない

 デッドセクションは、峠トンネルの中に平坦部(3‰)を設け、その部分に交交デッドセクションが設置された。
 デッドセクションまでの き電線は、トンネル内が狭隘なため、通常の撚り線ではなく、直線性が保たれるトロリ線を下から支える長幹碍子で保持されている。

 変電所は全屋内式変電所であり放熱器から察すると2個のスコット結線変圧器がある。また電圧降下対策として別棟にSVCが設備され、変電所とは特高ケーブルで結ばれて架線電圧の補償を行っている。
 このSVCは、力率の悪かった400系の運用時には有効に運用されていたが、VVVFインバーター制御のE3系では、必要がなくなり有効性の検討がなされ撤去の方向であるが、まだ撤去はされておらず運用停止のままである。




峠変電所の設置された電圧補償装置の方式



変電所の位置は、過去のスイッチバック線路の脇にある。トンネル内には無い。

交流電化当時のき電系統図
単純なき電系統であり、交交セクションは、電圧降下の面から比較的勾配の緩やかな地点に設けられた。

交流電化当時のき電
また通常交流き電変電所間には、き電区分所(SP)が置かれるが、福米線電化の際には、峠変電所を境に両端に急勾配が連続する。そのためSPのデッドセクションは、ノッチオフでの惰行が必要なための設置は避けられた。特に峠変電所は、電力回生制御用変電所として整備され分水嶺として両端に連続勾配があるため、板谷トンネル内の3‰の水平に近い部分300mの距離の中にデッドセクションを構築し、また勾配区間のブースターセクションにはコンデンサによるアーク防止装置を置いている。これが福米線でなぜき電区分所が設けられなかったかの理由である。

峠変電所と米沢変電所間には、き電区分所が無い 定位は峠変電所が米沢駅近傍までき電
この図は、まだ赤岩き電区分所の記載がない
峠⇔米沢間は、勾配があるのでデッドセクションを持ったき電区分所が置けない
これが変電所が連続している理由である。


図2-2が現在のき電区分
現在のき電系統は、赤岩にき電区分所が設けられている。




峠変電所 建屋 2台のスコット結線変圧器

変則的な1回線受電

1回線をMOF後に2回線に分割

峠変電所 屋内引き込みブッシング 左 変流器

スコット結線変圧器の放熱器


SVCが設置されている建屋
隣の変電所間はケーブル接続

変電所よりき電線引き出し NFと上下3本 1組✖2 線路は左下


峠変電所からき電区分のデッドセクションまで伸びるき電線

雪囲い 上部に交交デッドセクションに向かうき電線

峠駅ホーム 下り線側

上り線側 奥にスイッチバックの名残の待避線用トンネル

峠駅の表示



交交デッドセクションまでき電線が延びる 長幹碍子保持
き電線は、古いトロリ線を使用

デッドセクションまで延びるき電線
左上 撚り線のき電線と古トロリ線(金属棒)がつながる。右下 トロリ線は固いためこのような配線が可能


拡大 撚り線のき電線と古トロリ線(金属棒)がつながる

変電所脇のスイッチバックの雪囲い 廃線跡

参考文献
松本 将卓ら;峠変電所の静止型無効電力補償装置についての考察:電気学会研究会資料,2013,LD-13-54,TER-13-15
永峰 秀市ら;最近の新幹線 山形新幹線き電系統強化:鉄道と電気技術,2004,Vol15,No.5,pp69-73
鳩巣 哲昭;電力設備と工事の概要:鉄道と電気技術,1992,Vol.3,No.7,pp.9-13
荒井 仁ら;福米線の交流電化:JREA,1968,Vol.11,No.9,pp35-42
渡辺 信行;静止型無効電力補償装置(SVC)の有効性について:電気学会研究会資料,2016(38-57):2016.7.7pp.73-78

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