2022年5月1日

1220. 東北・北海道巡検39 JR北海道 北海道新幹線 吉岡変電所

吉岡変電所

アプローチ: 木古内駅下車 函館バス松前行き吉岡下車
変電所部 受電:北海道電力 今別線187㎸ 2回線 知内発電所から直接送電 
配電所部 受電:北海道電力 福島線66㎸   2回線 
     吉岡配電所停止の場合 187㎸降圧6.6㎸の高配変圧器が1台設備されている
非常用発電機:三相同期発電機6.6㎸ 総容量10,500kVA(2,000kVA×4、2,500kVA×1)

 配電所は、トンネル内湧出排水のポンプUp電源として重要な位置にある。竜飛き電区分所にも同様な配電所と非常用発電機が設備されている。

 この画像は、現在の画像と違う改良工事中の画像。クレーンがある場所にフィルター回路があった。現在は、GIS化設備の横にプラットホームが出来ていてC-GIS化設備とATが載っている。

 建設当時は、変形ウッドブリッジ結線変圧器で昇圧変圧器を主変圧器内に内蔵する形であったが、北海道新幹線開業時にルーフデルタ結線変圧器に交換された。
吉岡変電所は北本直流幹線と密接な関係位置にある

JR北海道 吉岡変電所 187kV受電系統の詳細(北海道電力 基幹系統図より引用)
 54 大野変電所ー知内発電所間 知内線 55 JR北海道 吉岡線
知内発電所には開閉所(◇マークあり)知内発電所が停止の場合、大野変電所からの融通を吉岡変電所は受ける。通常は知内発電所から55 知内発電所-JR北海道 吉岡変電所間 JR吉岡線で受電 △マークはJR北海道 吉岡変電所

JR北海道 吉岡配電所 66kV受電系統の詳細(北海道電力 187㎸以下系統図より引用)
125~129,138 北海道電力 福島線 131湯の里支線 137太陽光設備連系線 
13上磯変電所 132木古内変電所 133湯の里変電所 134福島変電所 
137 大規模太陽光発電所(知内メガソーラー20M発電所・出力変動緩和対策蓄電設備保有)
                                   △マーク JR北海道 吉田配電所

過去の受電部 主変がルーフデルタ結線変圧器に変更



 R11はGPTと避雷器、BU1はブッシング部、R12受電ユニット(遮断器、断路器。接地開閉器が収容)R13ユニット(CTと接地開閉器が収容)、R14(MOF部と避雷器) D1ユニット(二重母線化用断路器、接地開閉器が収容)、D2ユニット(遮断器、接地開閉器が収容)187kV受電2回線2計量方式受電として受電変圧器まで二重化を計り電力供給の信頼性を高めている。基本構成は過去の機器配置と変わらない


非同期対応き電部 RDはラジエター VCBは眞空遮断器 

非同期対応き電設備の簡単な構成図 BTの隣にあるのがAT CBは切替開閉器
吉岡変電所は、非同期対応き電設備が地上部にあり、同軸き電ケーブルでトンネル内のT、F、SN部を繋いでいる。同軸き電ケーブルの外被部分はレールに繋がっている。


SN部の切替開閉器同期してSN部のレールを短絡させる
構成はサイリスタスイッチを2つ順方向逆方向に繋いだもの

駅にあるものはRPCDと呼ばれている

放電ギャップ(Ar)で構成されていてレール電位が
規定電圧以上だと放電ギャップが放電して接地する

詳細は以下を参照

: 
             Google street viewでの画像
受電部の187㎸降圧6.6kV配電用変圧器(吉岡配電所が落ちた場合)が左中央に見える。非同期対応き電部の構成は変わりない


全体の構成 切替開閉器は建屋内に収容 トンネル内き電点まで同軸き電ケーブルで接続
右にある受電設備は、吉岡配電所の設備、建屋の半分は非常用発電機が置かれている。中央下 新しく作ったプラットホームの橋脚4本が見えている。中央上には打ち込み用のパイル4本が置かれている。1987年に建設されてから33年も経過しているため、非同期対応部の全面交換が行われている途中である。


受電部 設備

JR北海道 吉岡線 187㎸ 2回線鉄塔

187㎸ 2回線受電部
中央建屋が187㎸降圧6.6㎸高配変圧器 左側にラジエター

2L側 受電ブッシングとR21ユニット(GPT・避雷器)

2L側 受電ブッシングとR21ユニット(GPT・避雷器)
PT2があることから電圧も測定

1L側 2L側と同様

2L側 R22受電ユニット(遮断器、断路器。接地開閉器が収容)
R23ユニット(CTと接地開閉器が収容)
R24(MOF部と避雷器)

R22ユニットの中身
上記画像と比較

ルーフデルタ結線変圧器187㎸降圧60㎸

R24ユニットの下部についているのが北海道電力が所有権を持つMOF部

1L側も2L側と同じ



1L側 MOF
手前ラジエターは187㎸降圧6.6kV高配変圧器 吉岡配電所が使用不能時に対応


ルーフデルタ結線変圧器 187kV一次側 3相一括入力

ルーフデルタ結線変圧器 60kV二次側 A座、B座 一括出力GIS設備

非同期対応き電設備

OT 所内電源変圧器

AT12左 AT14右 上り方

GP装置 上り側

GP装置 下り側

AT13 AT11 下り側

新しいC-GIS化されたき電設備 右 下り方  左 上り方

 新しい 下り方 C-GISき電設備

新しいC-GIS化されたき電設備は、プラットホーム上に設備されている
配線はまだ行われていない

新しいプラットホーム上の手前2つはOT 所内変圧器

AT部分 ラジエター側

AT部分 全部で4個 ラジエター側

ATと判断した根拠 Ο、V、Uの表示 Oが中性点

AT11~14 4台同じ型が並んでいる ラジエターは裏側
配線はまだ完了していない

ATの前に左側に小さなラジエターがついたものはBT4台


この2台はLT 線条変圧器と思われる 

非同期き電設備は、全設備更新の工事の最中だろう


吉岡配電所 福島線66kV 2回線受電
福島線が吉岡配電所に入る前に特殊な装置がついている

2回線とも断路器で接地できるようになっている

福島線着接防止装置室とのこと
 考えるに末端を接地し、低電圧大電流を流して一時的に送電線を加熱し着雪を取り除くものと思われる。北海道電力 福島変電所と、この福島線着雪防止装置室間での対応であろう 福島変電所から吉岡配電所間は海に近いため着雪防止のため設けられたものと思われる。
同様な機構でトロリ線の着霜防止装置が越後線 小島谷変電所に設備されている。

807. JR東日本 小島谷変電所 越後線


66㎸ 2回線受電 重要な電源

全体構成 2重化 母線で結合

一連の流れ

ケーブルヘッドと受電部
構成は避雷器、GPT、断路器、遮断器


MOF部 これも二重化


北海道電力の所有物 MOF 計量器

断路器、遮断器、断路器、接地開閉器で構成 母線部
反対側の同構成機器との母線部

3方に分岐している

66㎸降圧6.6㎸ 高配用変圧器とラジエター部

まったく同じ構成で全二重化してる。

非常用発電機用燃料貯蔵地下タンク

非常用発電機排気口

切替開閉器収容建屋


切替CB室と明示 切替サーキットブレイカー(切替開閉室)100%予備

ケーブル斜坑 地上部変電所と吉岡定点を同軸き電ケーブルで結ぶ
ケーブル斜坑の位置
現在の地上部 赤ポイント部がケーブル斜坑の地上部ピットと思われる
道路の形状と比較

JR北海道 北海道新幹線 ケーブル斜坑入口


JR北海道 北海道新幹線 ケーブル斜坑への通路 地下に潜っている

道路の下を洞道で通過

ケーブル斜坑は25°の確度で下り連絡誘導路まで429mの長さがある

現在 ケーブル斜坑の天井部には、新北本直流幹線のケーブルが敷設されている


電電公社の通信線は移設され、天井部には
新北本直流幹線のケーブルが敷設されている


誘導連絡路に繋がる部分には風門が備えられており、トンネル内の空気流通の区切りとなっている。

ケーブル斜坑を経た11本の同軸き電ケーブルの接続点
 左端 本州側11F,T 12F,T,予備
右端 北海道側13F,T 14F,T
SN部全体は吉岡定点の地下誘導路プラットホームががぶるように設備されている

下り上り線誘導路及び連絡誘導路全体480mをカバーするようにSN部のトロリ線が引かれている。
吉岡定点 北海道、本州側端 F,T、SN部の同軸き電ケーブルの終端の状況
外被部分の引出部にはCTが噛ませてある

同軸き電ケーブルの様々な形態 誘導路上部に同軸き電ケーブルが敷設されている


その他周辺設備
吉岡変電所周辺の青函トンネルに関係する施設

排煙機室

立坑はこの建物の右手手前に配置

排煙坑道 この坑道の先が立坑部分

排煙坑道と建物の位置関係 排煙坑道は地下に潜る

建物の名称「排煙機室)

排煙機室内のファン(軸流ファン)

地図上と現地を見比べると立坑位置が判る 建屋は立坑から少しずれた位置にある

立坑位置の右下が排煙機室と思う

斜坑基地


斜坑地上部基地 巻上げ用ケーブルが出ている

斜坑地上部基地

斜坑部
斜坑基地地上部の全体



巻上機室


この部分からケーブルが引き出される

巻上げ機と巻上げ用ケーブル

巻上げ機受電盤

巻上げ機制御盤

巻上げ機本体





丘の上にある建屋


建屋からは斜坑とは反対側にトンネルが地下に潜る

丘の上から続いているものと思われる出入り口
斜坑基地の真下に開口部


新北海道本州直流幹線 ケーブルヘッド
新北海道電本州直流幹線 ケーブルヘッド


撤去された設備 
 き電母線に電力用フィルタが噛ませてあった。現在 新幹線はPMN制御なので高調波ひずみが現れ難いので撤去された。同様に今別変電所にあったフィルタも撤去されている。



き電運用

き電パターン
北海道新幹線(JR北海道) 定位き電パターン 上下一括き電
北海道新幹線(JR北海道) 非定常き電パターン 上下分離き電
北海道新幹線(JR東日本) 定位き電パターン パラき電
北海道新幹線(JR東日本) 非定常き電パターン パラき電
 北海道新幹線(JR北海道)は定位は上下一括き電だが新青森SS、新発田ATP、新富田SPまでは、JR東日本の管轄に入るので、新青森SSでの切替で上下一括き電を行っている。但し何らかの事案が発生した場合、上下分離き電、パラき電、準パラき電で運用される。また新富田SPには、延長き電時の電力量融通のための電力計が設けられ、各社の融通電力の積算を行う
新青森SS、今別、新函館SSでのき電切替
上下一括き電 一括き電遮断器投入 黒●が投入 電源は片方(定位)
上下分離き電 一括き電遮断器 遮断 白〇 電源は片方
パラき電 SS内一括き電遮断器 遮断 SSP、SS、ATP 一括き電断路器投入
準パラき電 SS内一括き電遮断器 遮断 SSP、SS、ATP 一括き電断路器投入
変電所では片方からき電

変電所脱落時のき電
  東北と北海道は、直流連系されているが交流部の電源が同期されていないので、非同期対応ポストとして竜飛き電区分所(定位)吉岡変電所(非通常時)が設けられている
このほかに函館総合車両基地変電所からの延長き電が新木古内き電区分所まで行える




参考資料(順不同)

衛藤 憲行;(独)鉄道建設・運輸施設整備支援機構納入北海道新幹線(新青森・新函館北斗間)変電設備:明電時報,Vol.355No.2,pp.31-36

高野 光ら;津軽海峡線変電設備:明電時報,Vol196,No.10,pp.33-38,1987

北海道新幹線工事誌:(新青森・新函館北斗間)本州方//鉄道建設・運輸施設整備支援機構青森工事事務所編 第12編電気pp.333-356、第13編共用区間pp.419-422

北海道新幹線電気工事誌:新青森・新函館北斗間//鉄道建設・運輸施設整備支援機構鉄道建設本部東京支社編 第2編pp.53-58、第3編pp.67-116、第4編pp.370-373

北海道新幹線工事誌:(新青森・新函館北斗間)北海道方//鉄道建設・運輸施設整備支援機構青森工事事務所編 第12編電気pp.385-408、第13編共用区間pp.472-530

浜田 博徳;津軽海峡線の非同期電源対策:鉄道と電気;Vol.41,No.10,pp.45-50,1987

津軽海峡線工事誌/電気;日本鉄道建設公団関東支社編,第二編送電、第三篇変電、第四編電車線 pp.131-139,pp.258-272,pp.297-375

津軽海峡線工事誌/電気;日本鉄道建設公団関東支社編,第一章~第二章,第三篇変電 pp.141-239

津軽海峡線工事誌/電気は2冊あり、それぞれ内容が違う


























































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