2025年5月1日

1474. 九州巡検10 JR九州 南福岡変電所 BTき電 鹿児島本線

 南福岡変電所

かつての補助き電区分所の鉄構を一部利用している

アプローチ:駅構内にあるので接近不可能 駅ホームから遠望しているので詳細は不明
受電:九州電力 西春変電所 66kV 1回線 地中送電線受電

赤丸がJR九州 南福岡変電所 1回線 地中送電線受電

き電:スコット結線変圧器1台  配電用変圧器1台


  南福岡変電所は以前は雑餉隈補助き電区分所があった場所の横に建設された。理由は、博多地区での列車負荷が大きく古賀変電所の延長時の電圧降下対策、き電保護等の対策を行なうためである。

 両端にデッドセクションを持つ特殊な形 二日市SS方には、き電区分所(SP)がない

 南福岡変電所が無かった場合 古賀変電所が約30㎞のき電延長を行なわなくてはならない。その間には吉塚、博多など大規模駅を抱えている。
また、南福岡変電所は九州一の電車区を抱え入出区も多く行われており、古賀が落ちた場合及び二日市が落ちた場合、電車の入出庫が出来ない状態となるので構内をどちらかの変電所でき電できるような配線が電化当時から行われていた。

電化当時も補助き電区分所が置かれ古賀SS、二日市SSどちらかでき電を行なえる構成だった

 上空画像から見るとスコット結線変圧器と直列コンデンサ、力率改善装置がある一般的な交流き電変電所。問題は2方面にあるデッドセクション。
 
 通常はき電区分所⇔変電所⇔き電区分所の構成で変電所とき電区分所に異相区分セクション(デッドセクション)がある構成。

 古賀変電所方には箱崎き電区分所があるが、二日市方にはき電区分所が無い。普通に考えれば南福岡変電所の二日市方のデッドセクションがき電区分所を兼ねる。

 南福岡車両区には、九州一の500両以上電車が在籍する。そのため補助き電区分所だった部分に南福岡変電所を設備して対応を行なっている。

 南福岡変電所から引き出されるき電線は、構内上下、電車区専用、古賀方上下、二日市方上下となるはずである。電車区と構内上下は同一の位相を持つ電源が供給されている。

南福岡変電所が出来た時点の電車区構内図

現在の構内図 出典(「配線略図.net」アドレス「https://www.haisenryakuzu.net/」)


全き電線引出部

左 NF 電車区

電車区 二日市上り

二日市上り 構内上り

構内上り 構内下り

二日市下り 古賀上り


古賀上り 古賀下り

合計 NF1回線を含めて8回線 予想は合っている。これがM座、T座とどのように組み合わされるか?二日市変電所方のき電区分所機能をどう持たせるか?

旧補助き電区分所鉄構から引き出される、古賀方上下と二日市方上下、NF


旧補助き電区分所鉄構から引き出される、二日市方上下、NF


駅構内を通過する二日市方上下、NF

右奥 受電部 左 高配用変圧器と避雷器、そしてスコット結線変圧器の一部


このキュービクルの奥にあるの上部が見えているのが力率改善用コンデンサ、リアクトル類


右 力率改善用装置からGCB、断路器を経て上部M、T座、NF母線に繋がる
その隣、古賀方下りと上り用のVCBが2台並んでいる。間にはタイき電用断路器がある
そのわきの文字盤には291南福岡-原田間下りの表示(二日市下り)の負荷断路器がある


左 243南福岡電車区 292南福岡-原田間上りの表示(二日市上り)の負荷断路器がある
負荷断路器は開路「切」これは構内上りに繋がる 243南福岡電車区の後ろにVCBがある

文字盤には291南福岡-原田間下りの表示(二日市下り)の負荷断路器がある
負荷断路器は開路「切」構内下りに繋がる


負荷断路器は2台しか見えない 負荷断路器の後ろにVCBが2台見える

架線が邪魔して解析不能


架線が邪魔して解析不能


き電線引出部とその下の機器に注目

き電線引出部とその下の機器に注目

構内上りと構内下りのVCBがある

Google Earth画像ではVCBが5台あり、古賀方と二日市方のき電設備間に隙間がある

Google Earth画像ではVCBが5台ある。力率改善用装置の隣に直列コンデンサがある
 スコット結線変圧器の横に放熱器が出るタイプは折尾変電所,門司変電所に置かれているものと似ている

以上の情報から推定すると以下の単結線図が浮かび上がる。

簡略化した単結線図
南福岡変電所が落ちた場合は、古賀変電所からの延長き電は受けない(き電距離が長い)
二日市変電所から負荷断路器を通じてき電を受け構内、車両区をき電する。


構内き電区分 同相き電だがVCB(遮断器)で区分はされている
出典(「配線略図.net」アドレス「https://www.haisenryakuzu.net/」)部分改変


広大な車両区 補機電源も馬鹿にならない。



車両区入口のの接地極付き断路器




参考資料
 能木貞治ら;北九州国鉄交流電化用変電設備:三菱電機Vol.35,No.3,pp.104-102,1961 

 村山邦男;九州島内の電鉄用電気供給設備強化:Vol.43,No.9,pp.34-38,1989

石橋謙二;職場だより JR九州南福岡電車区 九州一の電車基地:電車Vol.486,pp.74-79,1996







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