2014年12月1日

140. JR東日本 牛久き電区分所(交流・BTき電)RPC設置

牛久き電区分所(RPC設置)
 
牛久き電区分所は、グーグルマップで表示がでる。
アプローチ:ひたち野うしく駅 容易
特徴:電力融通装置(Railway  Static Power Conditioner)設置 き電区分所 
給電:藤代変電所、土浦変電所間の電力融通を行う。
 
2014年から稼動する予定であったが訪問したときは、断路器が開放状態で運用されていなかった。

 この土浦以南の交流電化区間では、変電所のき電区間内に3駅しかなく、同時走行車両も日中帯で上下3~4本と少なく、そのため発生させた回生電力が有効活用されていなかった。


RPC無しの時の回生、力行電力の流れ
藤代SSは、三相の内 2相しか使用しておらず、電力不平衡が生じる
 交流電化区間は、回生時の電力が変電所母線に逆流し電力会社へ戻る場合があり、変電所間での電力の融通ができなかった(直流は、位相差がないのでできる)そのため、き電区分所を挟んだ両交流変電所(藤代・土浦間)でき電線の電流を測定し、その測定値を牛久のRPCに送り架線の交流電力を一旦直流に変えて融通しあうことで回生エネルギーを、き電区分所を越えてやり取りできるようになる。各変電所の交流き電線に電流計を設置して計測すると24時間値で15,000kWhの回生電力が変電所母線に戻っていた。

単純なき電区分所間の電力融通



RPC設置時の回生、力行電力の流れ
RPC設置時でも藤代SSは、三相の内 単相しか使用していない

但し、この構成でも藤代SSは、三相のうち二相を使用しての変電が行われていたので、電力の逆流が発生した場合、66㎸側の電力不平衡が発生していた。(RPC設置前は、さらに過大な不平衡が起こっていた可能性がある)
電力不平衡の許容計算式
K値は2%以下を守る 但し 連続2時間平均値
藤代変電所は、単相での計算式となるのでもろ影響を受ける

牛久き電区分所と藤代変電所の関係

 藤代変電所は、当初 三相から二相を使用して66㎸からき電用20kVを降圧していた。予備を含めて2台のき電用変圧器が設置されていた。また当初はこの付近は、東電電源が脆弱だったためJR東電源自営電源で使用されていた。その後東電電源に切り替わりを行っている。

 取手以北の常磐線の列車本数が増加するに付け、藤代変電所からTEPCO側への逆送が頻繁に発生することになる。但し 連続2時間値は、許容2%以内で収まっていたはずである。
 東電 筑波南変電所と常総変電所間から藤代変電所のラインはとられている。

 東電の送電線には、いろいろな工場が繋がる。精密電子機器が工場内に設置されるにつけ、電力の品質向上が求まれてきているが、その送電線に短期間で電力の変動が大きい鉄道変電所が繋がっていると一般工場側に影響を与えることが多くなってきた。

 そこで藤代⇔牛久間の回生電力を吸収すべくRPCの登場となった。しかし実際の運用でも変動は収まりが悪く、とうとう藤代変電所のき電用変圧器を1個不等辺スコット結線変圧器に入替て変動を収める方策がとられた。 (電力不平衡の許容計算式 三相二相変換結線が該当)



現在 藤代変電所は、不等辺スコット結線変圧器 常用と単相変圧器(非常用)の体制で運用されている。
以上 あくまで個人の見解です。

822. JR東日本 藤代変電所・我孫子変電所 定点観察  新デッドセクション標識の行方 不等辺スコット結線変圧器稼動 ブログリンク

参考 加速器運転に際しての交流電源品質について 引用 Webから






 


由緒正しき 日本国有鉄道の銘板
ひたち野うしく駅から徒歩で、き電区分所に行く途中にある
BTき電特有のブースター変圧器(BT)別名吸上変圧器。避雷器が2個変圧器の出力一次側に繋がる
NF(負き電線)もBTの二次側繋がっているのが良くわかる。BT設置部分はエアーセクションで架線が分離されている。

交流BTき電区分所特有のデッドセクション

藤代の交直切替部より短い8m


左 土浦方面 上り 藤代方面上り NF上り NF下り 土浦方面下り 藤代方面下り
方面別 断路器各 3個 断路器の後NFは母線としてまとまる。
各方面で別のき電線は、計器用変圧器(PT)に繋がる4回線分4個 

計器用変圧器(PT)の後は、避雷器に繋がる

左より 避雷器、遮断器(VCB)、計器用変流器(CT)、断路器

新品なのでピカピカ光って美しい



断路器を経た後、方面別き電線は、土浦方面と藤代方面に纏まる
中央の断路器は、上下線タイ断路器 後方の長方形のものは所内変圧器(OT)
断路器を経て遮断器(VCB)に繋がる

土浦方多重変圧器と藤代方多重変圧器で一旦降圧させる
断路器は、開極(OFF))状態 稼動はしていない

降圧された交流電源は、建屋内のインバーターで直流にされ
電力の融通が行われる。

各NFには保安器が繋がる

RPCを備えた牛久き電区分所 右の建屋内にインバーターと直流接続部がある

牛久RPC 結線図

システム構成

 



参考文献(順不同)

本田誠彦ら:常磐線における車両回生電力の測定とその利用の検討(牛久RPC設置について言及)
電気学会産業応用部門大会論文集;2009,3,III.pp.275-278

交流き電変電所での運用について言及

牛久RPCは、き電用変電所では無く、き電区分所なのでV制御のみを行なう。
浜田博得ら:交流電気鉄道に適応する有効電力融通機能付き電圧変動補償装置
電気学会静止器研究会資料;2000,SA-00-33,pp.13-17

志々目浩一ら:在来線用電力補償装置(RPC)の実用化
電気学会全国大会講演論文集;2011,論文番号5-085,pp.134-135

井上 一ら:電鉄用電圧補償装置(RPC)のフィールド検証
電気学会産業応用部門大会講演論文集;1995,論文番号108,pp.377-380

北田敦雄:在来線用電力補償装置(RPC)の有効活用
電気学会全国大会講演論文集;2013,論文番号5-107,pp.185-188

日本鉄道電気技術協会編;2012,き電・変電技術変遷史

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